DTMに用いるオーディオインターフェイスやミキサー、アンプ、モニタースピーカー……、これらの機材への電源供給ってみなさんどうしていますか?デスクの裏側でテーブルタップを使ってタコ足配線でグチャグチャ、なんてケースが多いのではないでしょうか? 私もあまり人のことを言える立場でもないのですが、グチャグチャ配線だと、オーディオ系にハムノイズが入り込んで、ブーンという音が目立ってしまうことがよくありますよね。
やっぱり、ときには配線を整理して、混線を無くすのはもちろんのこと、コンピュータ系とオーディオ系を別にしたり、極性を確認するのも重要なポイントです。さらにノイズカットのためのフィルタを入れると大きな効果があるのですが、先日TASCAMからDTMユーザーにピッタリといえる電源供給のための機材、AV-P250LUVおよびAV-P250LUというものが発売されました。USB電源供給も可能という、このパワーサプライ、実際どんなものなのか使ってみたのでちょっと紹介してみましょう。
今回、TASCAMにお願いして借りたのはAV-P250LUVという定価44,100円、実売価格が39,000円程度の機材。形は1Uのラックマウントサイズであり、ラック機材と並べるとピッタリです。
これ、一言で表現すれば、「電源ノイズフィルタ付きのテーブルタップ」で、フロントに3つ、リアに10個の計13個のコンセントが並んでいるというもの。フロントのスイッチをオンにするとリアの10個のコンセントは連動してオンになるのに対し、フロントの3つは常にオンになっているという構造になっています。さらにUSBでの電源供給用にフロントに2つ、リアに1つの計3つのUSBコネクタも装備されているのです。
13個あるコンセントはいずれも、単純にテーブルタップとして電気が割り振られているというわけではありません。説明書によれば、この13個の電源すべてにはラインイズフィルタ、サージノイズフィルタの2種類のフィルタが搭載されているとのことです。
一般的にコンセントに届く電気は、さまざまな要因によりノイズが混入し、計測器で観察すると元々の信号とは異なる波形を示します。とくのオーディオ機器においては電源のノイズが音質に対して悪影響を与えるといわれており、そうしたノイズを除去するのがラインノイズフィルタです。さらに、雷などの突発的な過大電流によるノイズ混入を防ぐのがサージノイズフィルタであり、こちらも搭載しているというわけなのです。
見てみると分かるとおり、AV-P250LUVには3桁の7セグメントLEDが搭載されており、現在の電圧が表示されるようになっています。100~105Vの範囲にあれば問題ないと思いますが、この範囲外の異常な電圧が表示されるような場合は、一旦電源を落として、確認してみることをお勧めします。なお、下位モデルのAV-P250LUには、この電圧表示機能はありませんが、それ以外はすべて同じ仕様となっています。
このAV-P250LUVを使う上で、もうひとつのチェックポイントが冒頭にも触れた極性です。電池に+と-の極性があるのは当たり前ですが、家庭用の電源にも極性があるのって知ってましたか?まあ、オーディオ好きな方には当たり前の話だとは思いますが、この極性を間違えると、ノイズが混入しやすくなるのです。
コンセントのプラグを見ると、片方が長く、片方が短くなってますよね。この長いほうがアース(グランド)と呼ばれる極性であり、こちらに電源ケーブルの白いマークや文字が印刷されている側を接続するのです。まあ、中には極性のない機器もあるのですが、この点には極力注意するようにしましょう。
でも間にテーブルタップを挟むと、極性が分からなくなってしまうこともありそうです。そこで、このAV-P250LUVには、正しい極性で接続されているかをチェックする機能があるのです。といっても使い方は至って簡単で、リアにあるPOLARITY CHECK端子を指で触るだけ。このとき、隣のランプが点灯したら、逆を示しているので、元のコンセントの接続をひっくり返せばいいのです。
そして、もうひとつ嬉しいのは前述のとおり、USBコネクタを装備していることです。こちらは、特に特別なノイズフィルターを使った回路というわけではなく、またUSBで何かをコントロールするというものではありません。でもこれでスマホやタブレットなどに電源供給できるというのは、なかなか便利だと思います。ちなみに、フロント、リアの3つのコネクタを合わせて1.5Aまでの電源供給が可能であり、それを超えると供給が遮断される仕様となっています。
さらにユニークなのは、AV-P250LUVの中央部にLEDライトが埋め込まれていることです。引き出しのような構造になっているユニットを引き出すと、LEDライトが点灯し、引き出す量によって照射位置を調整することができるようになっているのです。これならライブステージ上など、暗いところで使う場合にも便利そうですよね。
以上、1Uラックマウントタイプのパワーサプライ、TASCAM AV-P250LUVについて紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?実際使ってみて便利だなと感じたのはボディーの奥行が290mmと長いこと。ラックマウントの機器を並べて裏からアクセスしても、10個のコンセントが手前に来るので扱いやすいんですよね。また、本体の電源ケーブルが3mと長めなので、配線の引き回しがしやすいというのも大きなポイントです。
従来からも、この手のノイズフィルターは存在していましたが、高級オーディオ機器向けの高価な製品が多かったため、こうした手ごろな価格になっているのはDTMユーザーとして嬉しいところです。またUSB端子が用意されているのも、なかなか便利なところだと思いました。
【関連サイト】
TASCAM AV-Pシリーズ、製品情報
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