より安く、よりコンパクトで使いやすくなったドラムマシン、SPARK LE

これまでも何度か取り上げてきたフランス、Arturia(アートリア)のドラムマシン・ソフト、SPARK。ビンテージ機材であるTR-808TR-909といったドラムマシンを彷彿させるSPARKは、ソフトだけで使っていても楽しいのですが、専用のコントロールサーフェイスと組み合わせて使うことで、完全なドラムマシンへと変身します。ハードで直接触れるため、マウスでの操作とはまったく違う、ホンモノのドラムマシンとしての使い勝手を実現できるとともに、その面白さも格段に向上します。この辺については以前の記事「ハード&ソフトによるリアルなドラムマシン、SPARKって面白い!」でも紹介したとおりです。

しかし、先日そのSPARKに新たなラインナップ、SPARK LEなるものが登場しました。国内定価が39,900円、実売32,000円程度というこの機材、個人的には上位版のSPARKよりも使いやすく、便利なのでは!?とも感じています。実際どんな機材なのか紹介してみましょう。
実売32,000円と低価格化し、よりコンパクトに使いやすくなったSPARK LE

SPARK LEというネーミングからすると、機能限定版のように思えてしまいますが、実は上位版のSPARKと機能は同じだし、ソフトもまったく同じ。違いはコントロールサーフェイスの大きさとボタンやツマミの数なんです。そのSPARKとSPARK LEを並べてみると、大きさの違いがハッキリと分かると思います。だいたい半分くらいのサイズなんですね。この写真からは分かりにくいのですが、厚さも半分程度とグッとコンパクトになっています。

上が従来からあるSPARK、下が今回新たに登場したSPARK LE

実際にSPARK LEを触ってみて感じるのは、質感というのでしょうか、ガジェット感というのでしょうか、これがすごくいいんです。約16mmという薄いボーディではあるものの、すごくしっかりとしていて、パッドを思い切り叩いても安定しているんです。また、SPARKだと、ちょっとPCデスクに置くには大きすぎて、これを載せたらすべていっぱい、という感じでしたが、SPARK LEならPCキーボードやマウスと一緒に置いておいても邪魔にならず、日本のDTM環境にはピッタリな大きさのように思います。

コンパクトだからPCデスク上に置いてもスッキリする

PCとの接続はUSBミニのケーブルを使い、もちろんUSBバスパワーだからACアダプタなども不要です。各パッドやボタンはシリコンラバーで中には青いLEDを装備。ボタンを押すと光るという仕様になっている点も、上位版のSPARKと同様です。

SPARK LEのパッドを押すと青く光る 

一番手前にある大きなパッドで、リアルタイムに叩いて演奏してもいいし、その上に並ぶ16個のボタンを用いて、ステップ入力していくこともできます。たとえば、1小節を16ステップで構成するパターンを作るとしましょう。まずは、スタートボタンを押して、ループ演奏する状態にし、キックの音色を選択した上で、1、5、9、13のボタンをオンにしていくと、ドン・ドン・ドン・ドンと鳴り出します。

Filterの設定にし、黒い部分=FXパッドを指でなぞると音が変化する 

さらに、スネアを選んで5、13をオンにすれば、ドン・タン・ドン・タンとリズムが作られていくわけです。本体中央部にある黒いのは、タッチセンシティブFXパッド。Filterボタンを押してこのFXパッドを指で触ると、Kaossilatorのような感じで音を変化させていくとができます。また右端にある3つのツマミは、ユーザーが自由にアサイン可能なエンコーダー。デフォルトでは各音色ごと最適化されたパラメータが設定されているので、これでピッチやスナッピ、ディケイといったパラメータをいじっていくことができます。

上位版のSPARKの場合、各音色ボタンの上に3つずつ並んでいたのが、SPARK LEではスペース節約のために切り替え式となっていますが、使った感じはまったく問題ないというか、こちらのほうがスッキリして使いやすいようにも思いました。

画面上のSPARK LEとコントロールサーフェイスの状態はまったく同じになっている

こうした操作は、すべてSPARK LEのコントロールサーフェイス上で行っていくことができますが、ソフトの画面にもそのまま反映されます。SPARKにはあったハードウェア上のディスプレイがなくなっているので、画面を確認しながら操作したほうが、より分かりやすいというのも事実ではあります。

パターンエディタを見ながら操作すれば、より分かりやすく、効率も上がる

また先ほどのような打ち込み操作は、PC上のパターンエディタで見れば、全体を見渡すことができるため、ハードで入力しつつも、画面でも確認することで、より使いやすくなるはずです。

数多くあるライブラリから好きなサウンドを選ぶことができる

ところで、このSPARKのソフトウェアは、膨大な音色ライブラリが備わっています。前述のTR-808TR-909というのはその一例なのですが、ビンテージドラムマシンでいえば、LinnDrum、YAMAHAのRX5などなどの音色が入っており、これについては以前の記事「TR-808やLinnDrum、Simmons…80年代ドラム音源30種を忠実に再現するSPARK」を参考にしていただければと思います。

また、そのほかにもDUBSTEP系、ラテン系、ロックドラム、アシッド系……と膨大なライブラリが用意されていて、100以上のキット、1500以上のインストゥルメンツとなっています。こうした音色選びも、ハードウェア上で操作することができ、それが画面と連動するようになっています。


読み込んだ音をいろいろとエディットすることもできる
また必要に応じて音色をエディットしたり、ミキサーでバランスを整えたりできるのも面白いところです。

WindowsおよびMacの環境で、スタンドアロンで使えるほか、VST、RTAS、AudioUnitsのプラグインで使うこともできるのでDAWとの連携もバッチリです。

このSPARK LEの操作をビデオ撮影しようかと思ったら、すでに氏家克典(@Katsunori_UJIIE)さんがMusic Trackで13分弱ビデオを作っていらっしゃったので、これを見るのが早そうですね。音もキレイに収録されているので、参考になると思いますよ。

ちなみに、SPARK LEにはキャリングバッグも標準で付属しています。これに入れた上でリュックにノートPCといっしょに詰め込めば、いつでもどこでも音楽制作ができそうですね。

標準で付属するSPARK LE用キャリングバッグ

【関連サイト】
SPARK LE製品情報
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