先日「DSP搭載の低価格オーディオインターフェイス、TASCAM US-366がスゴ過ぎる!」という記事で紹介した話題の製品、US-366が3月4日に発売になりました。24bit/192kHz対応で最大6入力/最大6出力、DSPミキサーを搭載した上に、エフェクトも装備して実売17,800円という、価格破壊をしてしまったこの機材。さっそく入手してみました。
実際に試してみると、やっぱりスゴ過ぎる機材でした!当初発表されていた資料には「リバーブ、コンプ、EQ」の3種類のエフェクトしか記載されていませんでしたが、加えてディエッサ、ノイズサプレッサ、エキサイタも搭載しているなど、ちょっと驚くべくスペック。ニコ生やUSTREAMにおける決定打的な機材であるとともに、DTM用途でも非常に使える機材といえそうです。実際、どんな機能になっているのかを紹介してみましょう。
手元に届いたUS-366のパッケージを開けて取り出してみると、正方形のお弁当箱といった感じの機材。重くはないのですが、アルミパネルでかなりしっかりしています。さっそくPCと接続し、ドライバをインストールしてみると、すぐに使える体制に入りました。そう、USB電源供給だからACアダプタも不要でとっても手軽です。
フロントの中央にヘッドホン出力、左右にマイク入力とライン入力が揃っているので、ミニマムなシステムであればフロントの接続だけで、事は足りてしまいそうですね。コンボジャックではなく、XLRとPHONEと分かれていますが、どちらか一方を選択して使う形になっています。また左チャンネルはライン入力とギター入力が兼用となっており、それはトップパネルのスイッチで切り替える形になっています。
マイクは+48Vのファンタム電源も搭載しており、48Vのスイッチをオンにすればコンデンサマイクの使用が可能になります。そして、INPUT 1およびINPUT 2のボリュームで入力レベルを、PHONESでヘッドホンボリュームの調整が可能になっていて、マイクプリも搭載されているんですよね。
細かな音質検証は今度AV Watchでやってみる予定ですが、とりあえずマイクを接続して試した感じでは、とってもいい音ですね。このマイクプリならかなり使えると思いますよ!
一方、リアには左から順に、光(OPTICAL)デジタルの入出力、同軸(COAXIAL)デジタルの入出力、そして秘密兵器のライン端子、一番右側に標準ジャックのメイン出力、さらに、その上にフットスイッチ接続のための端子が並んでいます。メイン出力に関しては、トップパネルの大きなツマミでレベル調整をします。
では、その秘密兵器とは何か。これはボトムパネルにあるLINE I/OというスイッチをINPUTにすると入力に、OUTPUTにすると出力に切り替わるようになっているのです。つまりINPUTにした場合、US-366は6IN/4OUTのオーディオインターフェイスに、OUTPUTにした場合は4IN/6OUTのオーディオインターフェイスに変身するんですよね。
人によって、また使うシーンによって入出力で使いたい数は変わってくると思いますが、この柔軟性は抜群。しかも試してみたところ、電源を入れたまま切り替えることが可能で、切り替えればすぐに反映されるのがスゴイところでもあります。またデジタル入力はOPTICALとCOAXIALの切り替えになっています。
で、US-366の面白いのはここからです。トップパネルに「MIXER PANEL」というボタンがありますが、これを押すとWindowsでもMacでも画面上にミキサー画面が現れてきます(もちろん、マウス操作で表示させることもできますよ)。ミキサーを触ったことがまったくな人にとっては、ちょっと難しそうな画面に感じられるかもしれませんが、複雑なものではないので、最低限の操作箇所だけを覚えてしまえば、すぐに使いこなせると思いますよ。
この画面を表示させている状態で、先ほどのLINE I/Oスイッチを切り替えれば、リアルタイムに入出力数が切り替わるのが確認できますよ。
さて、このミキサー画面で重要なポイントがいくつかあるので、簡単に紹介しておきましょう。まずはリバーブの使い方から。これはセンドエフェクトという形になっているので、すべての入力チャンネルに対して掛けることができます。初期設定ではすべて掛かるようになっていますが、不要なチャンネルはオフにすることもできます。そして、RETURNを調整することによって、リバーブの掛かり具合を調整することができます。
また、リバーブの設定はEFFECTSタブのREVERBの項目で調整することが可能で、5タイプのリバーブを選択することができるようになっています。
そして気になるのは、この画面の左側です。そう、前述したとおり、ここにはコンプレッサ(音圧を調整するエフェクト)、ノイズ・サプレッサ(不要なノイズをカットするエフェクト)、ディエッサ(ボーカルの歯擦音を調整するエフェクト)、エキサイタ(元気のいい音にするエフェクト)、EQ(3バンドのイコライザ)と5種類のエフェクトを選ぶことができるようになっています。
そして、選択したものを先ほどのミキサー画面のいずれかのチャンネルで使うことができるようになっているのです。全チャンネルで、5種類のエフェクトすべてが利用できればベストではありますが、これは内部DSPパワーの限界なんですかね、いずれか1つでしか使えないので、通常はボーカル用に接続したマイクにEQを掛ける、ディエッサを掛けるといった使い方になるんでしょうかね。
ちなみに、入力チャンネルも出力チャンネルもLINKボタンを押すと、2つのチャンネルを1つのステレオチャンネルとしてまとめることができ、この場合は1組のステレオチャンネルに対してエフェクトが掛けられるようになりますよ。そのほか、エフェクトセンドに関してはプリフェーダーか、ポストフェーダーかといった設定も可能になっています。
こうした説明だけを読んでいると、複雑そうにも感じますが、実際に触ってみればすぐに慣れると思うので、あまり心配しなくても大丈夫ですよ。ここでもうひとつ重要なポイントを紹介しましょう。それはボトムにあるMODEというスイッチについてです。これはMULTI TRACKとSTEREO MIXの2つの切り替え式になっており、DTM用途で使う場合はMULTI TRACKを選択します。
US-366に付属するCubase LE6を使ってレコーディングする場合、これでバッチリ。必要に応じて、US-366の内蔵エフェクトを掛け録りすることもできるし、録りはエフェクトなしで、モニター返しにのみエフェクトを掛けるといった使い方も可能なので、かなり便利に使えますよ。
一方、ニコ生やUSTREAMなどで放送に使う場合、また「歌ってみた」、「演奏してみた」といった使い方をする場合は、STEREO MIXを選択します。すると、出力、つまり放送への送りは2chに限定されるのですが、6つある入力をすべて利用し、これを画面上のミキサーでミックスして放送することができるのです。さらに、PC上でiTunesなどで再生した音もミックスすることができるから、最大で8chの入力ということになるんです。だから、アナログ1chにギター、2chにボーカル、3/4chにiPodを接続し、画面上でバランスをとって放送するとか、PCの音を再生したり、デジタル入力もミックスするなんてことが簡単にできてしまうわけですね。
従来ならオーディオインターフェイス、ミキサー、エフェクト……と、さまざまな機材を必要としていたのが、US-366を利用することで、これ1台ですべてができてしまうわけです。DTMユーザーもニコ生放送主も、とりあえず1台持っておいて間違いない機材だと思いますよ。
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