半額で登場したVSTが使えるiPadのDAW、Auria LEを使ってみた

以前の記事「iPad用でVSTも使える超高性能24/96のDAW、Auriaを使ってみた」や「iPad用にVSTプラグインが動く48トラック本格派DAWが登場だって!?」でも紹介したiPad用のDAW、Auria。VSTプラグインが利用できるということを含め、GarageBandとは明らかに格が違う本気のDAWであり、「iPadってここまでできるのか!」ということを実感できるアプリです。

ただ値段が2013年1月現在、4,300円とかなり高いため、購入に躊躇している人も少なくないのではないでしょうか?そんな中、Auria LE Editionというものが2,200円とほぼ半額でリリースされました。これは使えるものなのでしょうか?フルバージョンのAuriaと比較してどんな制限があるのでしょうか?試しに買って使ってみたので紹介したいと思います。
2,200円で発売されたAuriaの低価格版、Aurio LE Editon


昨年発表されて世の中(すごい狭い世の中かも!?)に大きな衝撃を与えたWaveMachine LabsのAuria。24bit/96kHzでのレコーディング、プレイバックが可能で、最大48トラックを装備。マルチチャンネルでのレコーディングにも対応した上に、なんとVSTプラグインが使えるなど、まさにPCのDAWと同等ともいえる機能、性能を持ったDAWです。

Auria LE Editionの起動画面

詳細は以前の記事をご覧いただきたのですが、VSTプラグインについては、ちょっとしたトリックがあり、手持ちのプラグインが使えるというわけありません。とはいえ、VSTプラグインとして評価の高いエフェクトがそのまま使えてしまうというのは大きな魅力ですよね。

さて、そのAuriaのLE版、いったいどんなものなのでしょうか?見た目は、Auriaそのものだし、使い勝手もまったく同じようです。触ってみてわかったAuriaとの違いは以下の3点です。

   1.サンプリングレートは44.1kHz固定である
   2.トラック数は24まで
   3.標準搭載のVSTエフェクトが3つのみ

簡単に解説すると、まずフルバージョンのAuriaではプロジェクトのサンプリングレートを44.1kHz、48kHz、96kHzの3種類から選択できるのに対し、LE版は44.1kHzしか扱えません。またトラック数の最大が48に対して24と半分になっているわけですね。

LE版でもVSTプラグインが使えるが標準搭載は3つのみ

そして組み込まれているVSTエフェクトは
   PSP StereoDelay(ディレイ)
   PSP StereoChrus(コーラス)
   ClassicVerb(リバーブ)
の3つ。フルバージョンではこのほかに
   Convolution Reverb(IR設定可能なコンボリューションリバーブ)
   ReTune(ピッチ補正)
があったので、2つ減ったということのようです。

逆に言えば、違いはそれだけ。そもそもホントに96kHzのレコーディングが必要なのか、25トラック以上が必要なのかというと、そうではないケースも多いと思うので、LE版で十分なのでは……とも思ってしまいます。

新規プロジェクト作成時に44.1kHzしか選べず、最大トラック数も24まで

実はAuriaを最近触っていなかったので、久しぶりに使ったのですが、驚いたことがいろいろありました。まずは、当初のバージョンと比較してかなり安定して動作するようになったこと。最初に使ったときは、ちょっと負荷をかけると、すぐにシステムダウンなんてことになっていましたが、LE版もフルバージョンも安定しています。

Auriaに追加可能なVSTプラグインが大幅に増えた

そして追加可能なプラグインが大幅に増えたこと。そう、アプリ内ストアであるAuria StoreにアクセスするとLE版にない2つを追加購入できるのはもちろんですが、それ以外を含め19種類もあるのです。たとえば
   PSP oldTimer(ビンテージコンプ)
   FebFilter Volcano2(フィルタ)
   Positive Grid JamUp(ギターアンプシミュレータ)
などなど。もちろん、従来からあるOverLoudのギターアンプシミュレータ、THMなども残っていますよ。それぞれ$9.99~$39.99で追加することが可能です。

また、実際使ってみて、やっぱりフルバージョンにアップグレードしたい、という人もいるでしょう。その場合も同じAuria Storeから$24.99でアップグレード可能になっていますよ。ちなみに、私の場合は先にフルバージョンを4,300円で買った後にLE版を買ったのですが、しっかり別途2,200円かかってしまったので、大損ですね(^^;
AudioBox 44VSLとの接続でマルチチャンネルレコーディングができる
ところで、このAuria LEを使うにあたって、マルチチャンネルレコーディングを試すためにPreSonusAudioBox 44VSLを接続してみました。iPad Camera Connection Kit経由でiPad 3rdに接続して使ってみたのですが、4トラック同時録音がバッチリできました。しかも各トラックにエフェクトをかけてモニターしながら使ってみましたが、まったく問題ないですね。ただし、Lightning接続のiPad miniでは、うまく行かないようでした。
エフェクトをかけながらのレコーディングも問題なく動作してくれた
以上Auria LEについてレポートしてみましたが、いかがですか?個人的には2,200円でこれだけのものが手に入るなら十分「買い」のアプリだと思います。今後、円安が進んでいくと価格が上がってしまう可能性もあるので、早めに入手したほうがいいかもしれませんよ。その上で、気に入ったらフルバージョンへアップグレードすることもできるわけですし!

【関連記事】
iPad用でVSTも使える超高性能24/96のDAW、Auriaを使ってみた
iPad用にVSTプラグインが動く48トラック本格派DAWが登場だって!?

モバイルバージョンを終了