タッチパネルの24/192kHzオーディオインターフェイス、ECHO2

先日、「ECHO2」というちょっと変わったオーディオインターフェイスが発売になりました。24bit/192kHz対応の2IN/4OUTというものなのですが、とってもコンパクトで、タッチパネル式という、これまであまり見たことのないタイプのものです。iPadスマホタブレットPCによってタッチパネルは当たり前の時代だけど、オーディオインターフェイス自体がタッチパネルって何?と不思議な感じ。

WindowsやMacと接続して使えるのはもちろんですが、iPadとも接続できるというのもちょっと気になる点。国内の発売元がフックアップだったので、ちょっとお願いして、この発売されたばかりのECHO2をお借りして使ってみました。

タッチパネル型の操作体系となっている2IN/4OUTのオーディオインターフェイス、ECHO2

ECHO2の開発元はアメリカのECHOというメーカー。最近DTMをはじめたという方だと馴染みがないかもしれませんが、オーディオインターフェイスメーカーとしては老舗中の老舗なんですよ。以前からサンレコなどを読んでいた方は、広告にLayla(レイラ)、Darla(ダーラ)、Gina(ジーナ)、またMia(ミア)なんて機材がよく出ていたので、なんとなく見た記憶のある方もいるのではないでしょうか?


手元にあった1997年のECHO開発のオーディオインターフェイスのカタログ

自分の昔の原稿を漁っていたら、サンレコの1998年10月号に書いた「PCに接続する1Uラックマウント型10IN/12OUT Layla」なんてのが出てきましたが、下位モデルのGina、Darlaはその1年前に発売されたと書いてあったから、15年以上の歴史があるメーカーということですよね。ちなみに、当時の機材の発売元はEVENT ELECTRONICSで「Layla by ECHO」と開発元の名前も書かれた製品になっていました。

私も昔からECHOは「ドライバが非常に安定したメーカー」という認識を持っていましたが、フックアップに聞いたところ、いまでも安定度の高い安価な業務用機材として需要があるのだとか……。


左からiPad mini、ECHO2、iPhone5

そのECHOが出したECHO2、取り出してみると本当に小さな機材。iPhone5iPad miniと並べた写真をみると、だいたいの雰囲気がお分かりいただけるのではないでしょうか?まあ、単に小さい機材というのはこれまでもいろいろありましたが、ECHO2の優れているのは、マイクスタンドへのアタッチメントがセットになっていること。


付属のアタッチメントでマイクスタンドなどに取り付けられる

そうステージなどでボーカリストやミュージシャンが自ら操作する機材として考えられた製品なんですよね。ネジで留める形になっているから、必ずしもマイクスタンドでなくとも、ドラムのアームなど、いろいろなところに取り付けることができそうです。

で、本題。このECHO2には突起物、つまりノブやフェーダー、ボタンといったものがひとつもありません。この機材の操作はすべてタッチパネルで行うようになっているのです。その操作の雰囲気はメーカー作成のビデオを見ると分かりやすいかもしれません。

実際に試してみると、操作性は抜群でした。最初に触って、「あれ?反応が悪い」と思ったら、誤操作を防ぐため、0.5秒以上触ると反応して、切り替えやレベル調整ができるようになっているんですね。また、2つある入力はそれぞれマイク、ライン、ギターが接続可能になっており、何を接続しているかも、タッチパネルスイッチで選ぶのですが、切り替えると自動的に一旦レベル0になるから、切り替えたら「ブチッ」なんてノイズが発生する心配もないのも嬉いポイントです。


左からUSBミニ端子、TRSフォンジャックの出力R、L、入力2 、1

PCとの接続はUSBのミニ端子で接続するだけ。しかもそこに接続するかなりしっかりした3mのUSBケーブルが付属しているというのも、重要なポイントだと思いました。PCと接続した場合は、USBからの電源供給で動作します。ただし、ファンタム電源を使う場合はこれでは電力が足りないようで、付属のACアダプタの利用が必須となります。


フロントには2chメイン出力とは独立したステレオミニのヘッドホンジャックがある

一方、このECHO2はiPadとの接続も可能。この場合はCamera Connection KitまたはLightning to USB Camera Adapterが必要となりますが、実際に試してみたところあっさりと認識し、録音、再生ともに使うことができました。このiPadと使う場合も、ACアダプタが必要となっていました。

気になる音のほうですが、測定などはしていませんが、非常にクリアないい音ですよ。さすがオーディオインターフェイスの老舗という感じです。変な音作りはしていないので、ストレートに入ってきた音をそのまま録音できるし、S/Nが非常にいいので、あまり難しいことを考えなくても簡単にいい音で録れるという面でも嬉しいですね。PCオーディオ系においても評価の高い機材なので、リスニング用に使ってもよさそうですよ。


XLRのマイクを接続するためのケーブルも2本バンドルされている

それからもうひとつ大きなポイントは、これを2chのミキサーやマイクプリ、ヘッドホンアンプとしても利用できる点。そう、USBかACアダプタで電源供給してやれば、PCやiPadと接続しなくても使うことができるんです。だからモニター返し用の機材として使うのにもいいのではないでしょうか?


レイテンシーも1msec以下に追い込むことができるなど、ドライバも安定している

以上、ECHO2について簡単に見てきましたが、いかがでしょうか? タッチパネル式のオーディオインターフェイスというから、実は液晶ディスプレイでも搭載しているのかと持ったのですが、そういうわけではなかったんですね。とはいえ、思いのほか操作性がよく、なかなかよく考えて設計された機材だなという印象を持ちました。
なお、価格のほうは、ちょっと高めで実売が5万円弱。安くDTMをしたいという人にとっては、なかなか手が出しにくいかもしれませんが、ステージで使いやすいオーディオインターフェイスを求めてるという人、日ごろ持ち歩くオーディオインターフェイスとして高性能でコンパクトなものを探している人、また2chでいいからいい音で録りたいという人にとっては、検討してみる価値のある製品だと思いますよ。

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