9月21日、iPhone5が発売になりました。すでに入手したという方もいらっしゃるでしょう。もちろん一般的な話題はLTEだったりテザリングなどが中心。もちろん画面が大きくなったことや、薄く軽くなったこと、そしてマップが従来と比較するとダメダメであることなども、Webメディアを中心にいろいろと報道されています。
でもDTMステーションではあえて、その辺は触れず、DTM環境に焦点を絞ってのファーストインプレッションを書いてみたいと思います。私の場合はiPhone4SからiPhone5への乗り換えであり、iOS5からiOS6への乗り換えでもあるので、その2つを比較したときに違いについて見ていきたいと思います。
本当は、この記事、発売された9月21日に書こうと思っていたのです。実際21日に予約しておいたiPhone5を受け取りに午前中に秋葉原まで出かけて行ったのです。しかし、今回ソフトバンクからauへのMNP乗り換えということもあり、いろいろと問題が発生。原因は自分の事務手続き上のミスではあったのですが、結果的に21日は受け取ることができませんでした。22日の夜になって、ようやく入手できたため、1日遅れての記事になってしまいました。
先日のiPhone5の発表会での記事でも取り上げたとおり、私を含め多くの方の最大の関心事はDOCK端子がこれまでの30ピンから8ピンのLightning端子に変更になったため、周辺機器との接続で問題が出ないのか、という点。これについては、10月に発売される8ピン-Lightningアダプタが登場してみないことには、検証しようがありません。各ハードウェアベンダーに聞いても、まだこのアダプタが入手できていないとのことですから、動くことを信じて待つしかないという状況です。
そのため、ここではこのDOCK接続の話は保留し、それ以外について見ていくことにしましょう。まずハードウェア関係ですが、何も周辺機器はDOCK接続がすべてではないですよね。そう以前iPhone用DTM周辺機器としてどこよりも早くリリースしたIK MultimediaのiRigはヘッドフォン/マイク端子に接続するアナログ機材。それならば、従来通り普通に使えるのではと思い、最初に試してみました。iPhone5ではこれまでのiPhoneと異なり、ヘッドホンジャックが下、つまりDOCK端子の左横に移動したのですが、ここにiRigを接続したところ、なんら問題なく、普通に使うことができました。
では、ソフトウェアのほうはどうなのでしょうか?私の手元にあるDTM系のアプリもいっぱいあるので、すべてを細かく検証しているわけではありませんが、iRigとセットで使うAmpliTubeはもちろん、GarageBand、MusicStudio、iKaossilator、iVOCALOID、TENORION(TNR-i)、Vogel CMI(Firelight CMI)、DXi、I am Synthなどなど軽く触ってみたところ、なんら問題なく普通に使うことができました。ここでも周辺機器との接続性がどうなるかは気になりますが、そこを置いておけば、iPhone5&iOS6になっても問題なく使えるといっていいと思います。
ただし、これらのアプリの大半はとくにiPhone5用にチューニングされたものではないため、画面サイズという点で残念なところがあります。そう、従来のiPhone用に作られたアプリは画面の上下というか、横位置にした際の左右に88ドットずつの黒い部分が出てしまい、画面がフルに利用できないのです。まあ、これはDTMアプリに限った話ではないわけですが……。
しかし、そんな中、いち早くiPhone5用に最適化されたDTMアプリが2つほどあるのです。その一つは、当たり前といえば当たり前、AppleのGarageBandは1,136×640ピクセルというiPhone5の画面をフル活用できるように画面が広がっています。
GarageBandの鍵盤が広がる(上がiPhone5での表示、下がiPhone4Sでの表示)
たとえば鍵盤を表示させた場合、従来ならちょうど1オクターブ分だったのが、iPhone5だとさらに2音。つまりC3からE4までの表示が可能になっているのです。
またSmartGuitarの場合、表示できるコードの数は一緒ですが、横幅が少し広がったため、弾きやすくなっています。さらにトラック表示画面では明らかに一度に表示可能な小節数が増え、編集しやすくなっています。
一方、サードパーティー製アプリとしてiPhone5発売前にいち早く対応を表明し、実際しっかりと動いているものがあります。それが、以前にも紹介したbismarkさん開発のbs-16iというSoundFont対応のプレイバックサンプラーです。そう国産のアプリであり、850円(iPhone5対応記念で9月22日現在500円で発売していますが、1週間程度で終了とのこと。入手するなら、急いで!)というものですが、どこよりも早くMIDIインターフェイスに対応したり、CoreMIDIやVirtualMIDIに対応するなど、常に最先端を進んでいるもの。やはりiPhone5へも最初に対応できたわけですね。
画面を見ると、確かに画面が広がりキーボードが弾きやすくなっています。先日、本人に確認したところ、実機でテストしているわけではなく、あくまでも仕様書ベースでのiPhone5化とのこと。本当に動くか自信がなさそうな返事ではありましたが、さすがバッチリ動いていますね。さらに、bismarkさんに確認したところ、このv1.5というバージョンではA6プロセッサへの最適化はされていないとのこと。Line6のMIDI Mobilizer Iが対応され次第、最適化するとのことでした。
ところで、iPhone5になったことで、もう一つチェックしてみたかったのがCPUの速度です。従来のA5プロセッサから2倍速というA6プロセッサへと進化でどの程度の違いがあるのかが気になるところ。どのアプリも反応速度がよくなっているような気はするのですが、実際どうなのでしょうか?
そこで一番時間がかかるGarageBandでのレンダリング速度の違いを測定してみました。iPhone4SとiPhone5それぞれでGarageBand起動し、デモ曲であるCurtain Callをメールに書き出すのにどのくらいの時間がかかるのかを比較してみました。
その結果、iPhone4Sでは44秒かかっていたのが、iPhone5では半分以下の20秒。これは圧倒的な差ですよね。ここまでハッキリした差が出るシーンがどれだけあるかは分かりませんが、やはり非常に高速化しているのは間違いないようです。
【追記】
読者の方からA5Xプロセッサ搭載のiPad 3rdでも試して欲しいとの要望があったので、同じ実験をしたところ、32秒でした。iPhoneとiPadという違いがあり、単純比較はできないと思いますが、しっかりと差が出ました。