先日、iPad/iPhone同士をBluetoothを使って同期させるWISTの記事を書きましたが、その後、読者の方から「“Virtual MIDI”についても取り上げて欲しい」という声をいただきました。このVirtual MIDIというもの、8月あたりに登場していたようなのですが、恥ずかしながら、私、まったくケアしておらず、全然知りませんでした。
が、これ調べてみるとすごいんです。そう、iPad上でマルチタスクで複数のシンセを立ち上げることができ、それを別アプリであるシーケンサやキーボードから鳴らすことができたり、同期信号を送ってアプリ間でMIDI同期を行うといったことができてしまうのです。知ってました?
ノートを鳴らす話と同期の話をいっしょにしてしまうと話が混乱しそうなので、今回は分かりやすいノートを鳴らす方法について紹介してみることにします。
今回登場するアプリは
【ソフトシンセ】
NLog Synth Pro
Sunrizer Synth
【MIDI出力用】
Midi Tool Box
Sound Prism Pro
の4本です。
ここでは、それぞれのアプリの詳細は割愛しますが、まずはこの操作のビデオを作ってみたので見てみてください。
実はビデオ編集なんてことを一度もしたことがなかったのですが、試しに先日のACIDの記事で知人が編集に使っていたMovie Studio HDというのを使ってみたら、なんとかそれっぽく作ることができました!ちなみに音は先日紹介したALESIS iO Dock経由でレコーディングしてみました。
これを見ると、だいたいのことが理解できのではないかと思うのですが、いかがですか?
このビデオの手順にしたがって、解説すると、まずNLog Synth Proを起動し、バックグラウンド機能をオンにしています。これが実はiPadにおけるVirtual MIDIを実現するための決め手。こうすることで、アプリを終了させても、実はマルチタスクとして裏で動いているのです。
次にMidi Tool Boxを起動させて、MIDIの出力先を確認すると、ここにNLog Synth Proという表示があるので、ここに設定します。すると、キーボードを弾くと、裏で動いているNLog Synth Proで音を出すことができるのです。
続いて、Sunrizerを起動すると、普通にシンセとして音が鳴るのですが、ここでもバックグラウンド機能をオンにします。この時点で裏ではNLog Synth ProとSunrizerの2つのシンセが動いていることになるのです。
再度、Midi Tool Boxを起動して演奏すると、先ほどと同様NLog Synth Proの音が出るわけですが、MIDIの出力先を見ると、Sunrizerが追加されています。そこで、これを選択してキーボードを弾くと、音はSunrizerに切り替わるというわけです。
次に、簡単にコード演奏ができてしまうちょっと不思議なMIDI演奏ツールであるSoundPrism Proを起動。こいつには、MIDIの出力先を設定する機能がないようで、すべてのMIDIデバイスに信号が行くようになっています。そして、これを演奏すると、裏で動いている2つのシンセが同時に鳴るというわけなのです。
このVirtual MIDIという機能、iOSのCoreMIDIシステムが持っている機能であり、特別何かを追加しているわけではありません。まだバックグラウンドで動作可能なモードを持つソフトシンセはそれほどありませんが、今後多くのアプリが対応してくるのではないでしょうか?
【追記】
先ほど、bs-16iもVirtual MIDIに対応していたことに気づきました。まだ、対応アプリは少ないので、もし他にも対応しているものがあれば、ここに追記していこうと思うので、ぜひ教えてください。(2012.04.08)
GarageBandの新バージョンがVirtual MIDI対応したようです。(2012.09.22)
GarageBand v1.3改めて確認したところ、バックグラウンドでは動きますが、Virtual MIDI対応ではないようです(2012.09.25)