次々の新製品が登場するiPad/iPhone用のDTM機材ですが、今度は日本メーカーであるティアックがTASCAMブランドでiXZ(イクシーズって読むのだったかな??)を今週発売します。オーディオインターフェイスと呼ぶのは正しくないのかもしれないけれど、これを使うことでギター、ベース、マイクとの接続が可能になり、ファンタム電源供給によりコンデンサマイクも使えるという仕様。
実売価格が4,980円前後で伊IK MultimediaのiRigの高機能版ともいえるiXZ。発売前のデモ機をお借りすることができたので、実際どんなものなのかを試してみました。
TASCAMのiPad/iPhone用I/F、iXZ
まずiPhoneと並べたときの写真をご覧ください。そこそこの大きさであり、先日発表されたLine6のMobile Inと比較すると決してコンパクトとはいえないかもしれません。ただ、ここにはギターからのシールドケーブルやマイクのXLRのケーブルがそのまま接続できるコンボジャックが搭載されていることを考えると、小さすぎずに安定する大きさだとは思います。
また、iXZの製品的な性能というか性格を示す最大のポイントはiPadやiPhoneのヘッドフォンジャックにアナログで接続するという点。そのためMobile InやALESISのiO DockなどDockコネクタにデジタル接続する機材とは根本的に設計が異なるものなのです。だからiRigの高機能版だ、といったわけですが、せっかくなのでiRigと比較してみましょう。
フロントにコンボジャック、モード切替SW、ファンタムSW、入力レベル調整がある
まずiRigはギター接続専用に設計されたデバイスであるのに対し、iXZはマイクとの接続も可能です。ギターを入力しているかマイクを入力しているかはMODEスイッチで切り替えるようになっているほか、隣にはPHANTOMというスイッチも用意されており、これをオンにすれば+48Vの電源供給がされ、コンデンサマイクを駆動することもできるのです。
IK MultimediaはiRig Micというマイク製品も出していますが、iXZであれば自分の手持ちのマイクをそのままiPad/iPhoneで利用できるわけですね。もちろん、ファンタム電源を供給するのですから、電力が必要になるわけですが、ヘッドフォン端子から電源供給することはできません。そこで、iXZでは底面に単3電池2本を入れて使うようになっているのです。
ということは、ファンタム電源が不要なギター接続の場合は電池はいらないのかな?と思い電池を抜いて接続したところ、思ったとおり!普通に使えてしまいました。さらにダイナミックマイクでもいけるかなと試すと、これもOKでした。
ただダイナミックマイクをXLRではなくフォンケーブルで接続するとダメ。MODEスイッチはTSフォンかXLRかの切り替えとなっているようでした。なお、一番右にある入力ボリュームはマイクにのみ効果があるようです。
では、その音はどうやって聴くのでしょうか?これはリアにあるステレオミニのヘッドフォンジャックから出力されます。iPad/iPhoneのヘッドフォンジャックと接続しているわけですから、iRig同様にこれを入力用と出力用に分岐させているだけの話ですね。音量調整もすべてiPad/iPhoneのボリュームで行います。
さて、問題はアプリ。実はTASCAMではiXZ用には何もアプリを出していないのです。以前、TASCAMの4トラックのカセットMTR、PortaOneを再現するアプリ、PortaStudioを紹介したことがありましたが、iXZ用には作っていないのですよね……。
ここはちょっとズルいな、とも思ったところですが、アプリは他社のを使ってしまえ、という考え方なのです。そもそもアナログ接続の機材ですから、プロテクトなどもないわけですし……。
で、試してみたところ、結構何でも使えてしまいました!まずはiRig用のギターAmpliTubeは当然のようにバッチリ。似たコンセプトのアプリであるAMPKITやiShredLIVEでも問題なく使えます。
またボーカル用のエフェクトソフトであるVocaLiveなどでも使えますし、APPLE純正のGarageBandでもOKですね。
最近のDockコネクタへのデジタル接続機材と比較するとローテクな感じがしないでもないですが、音質的にも不満はないし、価格も手ごろでなので1つ持っていて損はないのではないでしょうか?