iPhone/iPad用のMIDIインターフェイス、MIDI Mobilizer、MIDI Mobilizer IIを出してきたLINE6が、LINE6としての本命ともいえるオーディオインターフェイス、Mobile Inを発表しました。バッテリーやACアダプタ不要で動作するこのMobile Inはその名称からも分かるとおり、入力専用のコンパクトなインターフェイス。
最大の特徴は、これを取り付けることによって、iPadやiPhoneがLINE6のPODになってしまうということ。PODについてここではぐちゃぐちゃ説明しませんが、ギタリストの方ならよくご存知のとおりの元祖アンプシミュレータですね(もちろんiPodではなくてPODですよ!)。
LINE6からiPadをPOD化するMobile Inが登場
まずはLINE6がプロモーションビデオを作製しているので、これを見てみるとその雰囲気が分かると思います。
昨日、LINE6がプレス発表会を開いたので、そこで実物を見てきました。MIDI Mobilizer IIと並べるとその大きさの雰囲気が分かると思いますが、DOCKコネクタに直接取り付ける非常にコンパクトなものとなっています。サイズとしては48(W)×56(D)×10(H)mmで142g。先日ALESISのiO Dockを紹介しましたが、それとは対極にあるコンパクトなものといえそうです。
左がMIDI Mobilizer II、右がMobile In
そして、このMobile Inには2つのミニジャックが用意されているのですが、右側がHi-Z対応のギター入力、左側がステレオのライン入力となっています。付属品としてギターと接続するための1.8mのシールドもあるので、ギターがあれば、即使えるというわけです。
1.8mの標準-ミニ変換のシールドが付属する
ギター入力といえばIK MultimediaのiRigがあります。それなりに好評なデバイスですが、これはiPadやiPhoneとはアナログ接続。そもそも標準の入力音質に不満を感じていた人も多かったので、そこにネックがあったのも事実です。
iPadの場合はCamera Connection Kit経由でUSBオーディオインターフェイスに接続できるため、これまでもギターを高音質に入力する手段はあったのですが、iPhoneでは使えません。そこで登場してきたのが、iPadにもiPhoneにも対応したMobile Inなのです。
さらにMobile Inのすごいのは、その音質スペック。私の知っている範囲ではCamera Connection Kit経由で扱えるのは16bit/44.1kHzに留まっていたと思いますが、このMobile Inは最高で24bit/48kHzまで扱えるようになっていて、そのダイナミックレンジは115dB。これは大きなアドバンテージといえるのではないでしょうか?もちろん、CoreAudio対応ですからGarageBandをはじめとする主要アプリケーションで使うことが可能です。ただし、出力はiPhoneやiPadのヘッドフォン端子を使う形になります。
そして、すごいのはあのPODをアプリで実現する「Mobile POD」がLINE6からAppStore経由で無償提供されるということです。おそらくこのアプリはMobile Inが装着されていないと起動しないものとなっていると思われますが、機能的にもかなり充実しているようです。
iPad、iPhoneをPOD化するアプリ、Mobile PODは無償提供
具体的にはストンプボックスエフェクト16種、アンプ32種、スピーカー・キャビネット16種、マイク2種で構成されるとのことなので、かなりの充実度といえそうです。ただ、先ほどのビデオでも「アレ?」と思った方もいると思いますが、このアプリ自体はまだ開発中で、完成していないとのこと。昨日もアプリのほうは見ることができませんでした。
気になる価格ですが、オープンで実売価格が8,400円程度になる見込み。発売は11月下旬に予定されています。また詳細が分かったら紹介したいと思います。
【追記:豆知識】
PODを「元祖アンプシミュレータ」と書いた件について、きっと指摘がくるだろうな……と思って構えていたら、やっぱり「違う」というご指摘をTwitter経由でいただきました。私も以前、その辺調べたことがあったのですが、資料がなくなってしまっていて……分かりやすくするため「元祖」と書いていました。で、さっき資料が見つかったので、ご報告を。私が一番最初に知ったのは1988年4月にTASCAM(ティアック)が16,300円で発売したGS-30という機種。おそらくこれが世界初のアナログのギターアンプシミュレータだと思います。その翌年にハードディストーションバージョンのGS-30Dというものを17,000円で発売しています。よく世界初のアンプシミュレータは米Tech21のSansAmpだといわれていますが、SansAmpは1989年。実は日本のティアックが最初だったんです。いずれにせよ、PODではないですね…。でPODが発売されたのはLINE6が設立された2年後の1998年。GS-30から見ると10年後ではありますが、おそらくこれが初のデジタルアンプシミュレータであり、デジタルとしては元祖となると思います。
※さらに追加情報。LINE6はPODを出す前に同じ1998年、AMP FARMというTDMプラグイン版のデジタルモデリングアンプシミュレータを出しています。