9月末発売予定として、発売までカウントダウンに入っていたVOCALOID 3。私自身もだんだんワクワクとしてきていたのですが、8月1日、ちょっと残念なお知らせがヤマハからありました。VOCALOID開発担当者(@vocaloid_yamaha)のツイートによると
いよいよ8月ですね。VOCALOID3の開発・営業スタッフ一同、発売に向けて鋭意準備中です。発売日は当初予定の9月末から若干ずれこみ10月になりますが、ご期待以上の内容になるものと自負しています。詳細な情報は9/1にあらためて発表いたしますので、いましばらくお待ちください。
— ボーカロイド – VOCALOID5 (@vocaloid_yamaha) August 1, 2011
2011/08/01 14:52:13
いよいよ8月ですね。VOCALOID3の開発・営業スタッフ一同、発売に向けて鋭意準備中です。発売日は当初予定の9月末から若干ずれこみ10月になりますが、ご期待以上の内容になるものと自負しています。詳細な情報は9/1にあらためて発表いたしますので、いましばらくお待ちください。
ということで1ヶ月弱のお預けに。ただ、その一方、VOCALOID3の詳細も見えてきました。7月30日に東京・表参道で行われた「YAMAHA Steinberg EXPO 2011」でVOCALOID3が展示され、その実物を操作することができたので、ちょっと紹介してみましょう。
YAMAHA Steinberg EXPO 2011については、AV Watchの連載、Digital Audio Labratoryのほうでレポートしているので、そちらを参照いただきたいのですが、その片隅に、こっそりとVOCALOID3が展示されていたのです。しかも、誰でも操作できる形で置かれていたのです。でも、VOCALOID3という表示はまったくなかったためか、ほとんど誰も気づくことなく素通り。ボカロPの方々はあまり来ていなかったんですかね……。
「ホントに触っていいんですか?」とヤマハの担当者に確認もしましたが、「OK!」とのことだったので、ちょっと使ってみました。
最初に見て驚いたのが、このPerfumeのポリリズムの曲データ。見ると分かるとおり、全部、A3=ラの音階で入力されているのです。で、どうやってメロディーを鳴らしているかというと、全部ピッチチェンジでコントロールしているのです。もちろん、わざとこんな極端なデータをデモしていたわけですが、ピッチチェンジでの変化幅がVOCALOID2とは大きく変わっているわけですね(VOCALOID2では上下1音)。またピッチシフトに限らず、各パラメータの効き具合はかなり強くなっているようでした。
【追記】
先ほど読者の方から指摘をいただきましたが、VOCALOID2でもPBS設定を変更することでピッチチェンジのレンジを大きくすることは可能です(12に設定すれば上下1オクターブ)。VOCALOID3のベータではデフォルトのPBSの設定が変わっていたようです。
また、先日の剣持さんインタビューでもあったとおり、オーディオトラックが2つあることが分かります。これは初期設定ですでに2トラック用意されており、ステレオ用のトラックとモノラル用のトラックが1つずつとなっています。
またVOCALOID2と大きく異なるのが「ジョブ」メニューです。ここには「Jobスクリプトを実行」、「Jobスクリプトを管理」という2つのメニューが新たに追加されています。これが、新規格の“VOCALOID Job Plugin”というヤツですね。「Jobスクリプトを管理」を実行すると、プラグインの一覧が表示され、ここで「追加」ボタンをクリックすると、新たなプラグインを1ファイルずつ追加可能となっていました。
組み込まれているJob Pluginの一覧
一方、いくつかの音符を選択すると「Jobスクリプトを実行」のメニューがアクティブになります。たとえば、「スタッカート」を選ぶと、各ノートの時間が短くなり、スタッカートに。さらに「レガート」を実行すると、スタッカートで途切れた音がつながるようになるといった具合です。
まあ、ここにあるプラグインがそのまま製品に標準搭載されるのかなどは未定とのことでしたが、編集作業はかなり効率よくできそうです。スクリプトのソースコードをチェックし忘れましたが、プログラミング自体は簡単とのことでした。
VOCALOID2にはなかった「トランスポート」というメニューも追加され、ここで再生や巻戻しといった操作もできるようになっています。
「設定」メニューの「プリファレンス」を開くと、VOCALOID2と同様に「VOCALOIDシーケンス」、「オーディオの設定」、「その他の設定」という3つのタブが現れます。この中で結構変わったのが「オーディオの設定」です。VOCALOID2にはあった“ReWire”に関する選択肢は消えて「オーディオデバイス」のみとなった一方、VSTに関する機能が追加されていることが分かります。
そのVSTプラグインですが、ほかのDAWなどと同様に所定のフォルダにプラグインのファイルを入れておくと使えるほか、パス設定によってプラグインが収められているフォルダを指定することで組み込むことも可能のようです。そして、これらのプラグインを合成されたボイスに対して自在に掛けることができるわけです。
VOCALOID3 EditorではDAW風に複数のボーカルトラックを並べることができ、それをミキサーでミックスすることが可能です。ただお馴染みのピアノロール画面は同時に1つしか開くことができない仕様になっていました。
VSTプラグインも自由に使える
以上が、VOCALOID3 Editorをちょっぴり触っての偵察結果です。ただ、ここで展示されていたのはあくまでもβ版というかα版的な存在のようなので、実際に製品が出るときには機能も画面も大きく変わってしまう可能性はありそうでそう。ただ、現状はこうなっているということで、ご参考まで。