CubaseやSONARなど主要DAWの64bit対応版がリリースされ、すでに使っている人も少なくないと思います。しかし、ここにはいくつかの問題もあります。その一つがReWireが使えないということです。ReWireの開発元であるPropellerheadが未だReWireの64bit版を出していないためであり、各DAWにReWireのメニューがあっても、そこがアクティブになっていないのが実情です。
しかし、その本来のReWire機能を使わなくても64bitのDAWをReasonやVOCALOID2などのReWireスレーブ・アプリケーションとReWire接続してしまうツールがあるので、紹介してみましょう。
そのツールというのはノルウェイにあるXT Softwareという会社が開発した、
ReWire VST
というプラグインです。Windows用とMac用のそれぞれが入ったハイブリッドのソフトウェアなのですが、名前からも想像できるとおり、ReWireをVST経由で接続してしまうというものなのです。
具体的には、
・1ステレオ+6モノラルのオーディオチャンネル
・最大128MIDIチャンネルでの制御可能
・プレイバックの同期サポート
となっていますから、基本的なReWire機能をほとんどサポートしているので、十分役に立ってくれます。
たとえば、「VOCALOID2に予めVSQデータが入っている状態でDAW側の操作で再生を開始し、DAWに届いた信号にエフェクトをかけたい」といった処理であれば問題なく行えます。また「DAW側で組んだMIDIシーケンスでReasonの各シンセを鳴らし、その結果をDAWのミキサーに流し込みたい」といったニーズにも対応できるわけです。
使い方は、まさにVST。Windowsの場合「.dllファイル」、Macの場合は「.vstファイル」となっているので、指定のVSTプラグインフォルダにコピーし、DAW側で認識させます。すると、DAWのVSTインストゥルメントとしてReWre VSTが利用可能となります。そう、普通のソフトシンセのように組み込まれるわけですが、そのままでは何も動いてくれません。
ここで、ReWire VSTのプルダウンメニューを開くと、利用可能なReWireデバイスが表示されるので、使いたいものを選択します。
するとReasonの場合なら自動起動するし、VOCALOID2であれば手動で起動させるとともに、出力先をReWireに設定します。
これでほぼReWire接続が完了です。Reasonであれば、MIDIの出力先のデバイスを必要に応じて複数設置すれば、DAW側からMIDIでリアルタイム制御可能になるわけです。そして、DAW側のプレイボタン、ストップボタンを押せば、それぞれ同期して動いてくれるというわけです。
このことからも分かるとおり、ReWireのスレーブ側は64bitアプリケーションである必要はありません。実際、現在のところ、64bitのReWireスレーブ・アプリケーションはありませんしね。ややトリッキーな方法ではありますが、ReWireが使えないために64bit環境への移行を躊躇している人には便利なツールだと思います。
なお、ReWire VSTはオンライン販売でのシェアウェアで、価格は19ユーロ(3月14日現在1ユーロ=約114円なので約2166円)。またとりあえず使えるデモ版もあり、無料でダウンロードできるので、まずはこれで試してみてはいかがですか?
【関連サイト】
XT SoftwareのReWire VST