分かったようで、いまいちピンと来ない点も多いiPhone/iPadのCoreMIDI。SDK(ソフトウェア開発キット)を見てもあまり詳しいことが記述されていないという噂ですが、やはりユーザーとしてもいろいろ知りたいところです。とくに先にリリースされていたLINE 6のMIDIインターフェイス、MIDI Mobilizerとの関係もすごく気になるところです。
そこで先日、CoreMIDI対応を実現させたシンセサイザ、bs-16iの作者、bismarkさんにCoreMIDIとMIDI Mobilizerの違いや、メリット・デメリット、また今後の動向の予想などを聞いてみました。
藤本:bs-16iは最初からMIDI Mobilizer対応となっていましたが、今回のCoreMIDI対応させたアップデート、開発にどのくらいかかりましたか?
bismark:トータルでは2週間くらいかと思います。
藤本;ソフトの設計によって大きく異なるとは思いますが、CoreMIDI対応というのは、難しいことですか?
bismark:対応すべきことはCoreMIDIとLINE6とで変わりませんので、アプリの設計構造を大きく変えたりということは必要ありませんでした。SDKとしてはLINE6の方がきちんとまとめて頂いている感じで触りやすかったように思います。
藤本;今回、Line6のMIDI Mobilizerの新ファームにも対応したとのことですが、ユーザーにとって新ファームにアップするメリットって何ですか?
bismark:大きな機能追加というよりは信頼性が向上されたバージョンなのではないかとの認識です。バージョン間の互換もbs-16iで見る限りは完全にコンパチですし、接続/非接続時の安定性も増しているように感じています。またSystem ExclusiveやReal Time Messageの取り扱いが改善されているそうです。bs-16iでは残念ながらほとんど使用していませんが、その辺りのメリットを利用した高度な同期機能等も可能なのではと想像しています。
藤本;CoreMIDIとMIDI Mobilizerを比較した際のメリット、デメリットって何ですか?
bismark:現状CoreMIDIのCamera Connection Kit接続はiPadのみの対応ですのでiPhone / iPod touchのMIDI接続に関してはやはりMIDI Mobilizerが最適なソリューションだと思います。あとは電気的な問題なのか、MIDI Mobilizerに比べてCamera Connection Kit経由のCoreMIDI接続は認識されたりされなかったりが多いですよね。
一方、(きちんと計った訳ではないのですが)大量にMIDI受信したケースでののタイミングはCoreMIDIの方が良いように感じました。
ただし、どちらもAPIとしてはタイムスタンプ付きでMIDIメッセージをやりとりする形式になっていますので、それをアプリが利用すれば若干のDelayと引き換えにタイミングの精度を維持することができます。実際、bs-16iの場合には設定画面のBuffering / Latencyという項目で調整できるようにしています。
また、WiFiを使ってiPadとMacを無線MIDI接続できるのもCoreMIDIの大きな利点だと思います。もう一つ、CoreMIDI対応でiPad + Camera Connection KitでのMIDI I/F対応アプリはいろいろ出ていますが、実験してみたところ、マルチタスクとCoreMIDIを使ってアプリ間MIDIメッセージ送受信が動作することも確認できましたので、これを利用して何か面白いことができるのではと期待しています。これはiPadだけでなくOS4.2のiPhoneでも動いてますよ。
藤本;なるほど、まだ試したことがありませんでしたが、WiFiを活用するという使い方もあるのですね。マルチタスクでCoreMIDI利用って、なんとなくReWire的ですよね。面白いアプリが出てくることを期待しますが、ぜひ作ってくださいよ! ところで、将来的にはMIDI MobilizerもCoreMIDI対応になると思いますか?
bismark:うーんわかりません。個人的には無いような気もします。
iOSデバイスをMIDI音源としてお使いになっているユーザーさんのtweetを良く頂くのですが、それを踏まえると電源の維持が一番の問題かと思うので、CoreMIDI対応よりも本体充電機能付きの“MIDI Mobilizer 2”のようななものを個人的にはお願いしたいですね。
藤本:ありがとうございました。
【bismarkさんのサイト】
http://www.bismark.jp/