これまで何度も紹介してきたとおり、iPadはCamera Connection Kit（以下CCK）を使うことによって、USBオーディオインターフェイスを利用できるようになります。さらに、iOS 4.2からはCoreMIDIもサポートしたため、MIDIキーボードやMIDIインターフェイスも接続できるなど、CCKはiPadでDTMをするための必須アイテムとなっています。
最近は簡単に入手できるようになったCCKですが、当初は品不足でiPad以上に入手しづらい状況が続いていましたが、そんな中、偽者とおぼしき「Camera Connection Kit 2 in 1」なるものがアキバのお店に登場し、ちょっと話題となったのです。
すぐに入手しようと思ったのですが、これもやはり当初なかなか見つけることができず、すっかり忘れてしまっていました。が、最近ネット通販などで格安で出回るようになったため、これが使えるものなのか入手して試してみました。
実際買ったのは1ヶ月ほど前のこと。Amazonで1,980円で購入したのですが、今調べてみるととアイ・オー・データ製などを含め、同様のものがいっぱい出回っており、安いものだと送料込みで1,160円で入手可能です。純正はApple Storeで2,980円で、送料を入れると3,505円だから、かなり割安ですよね。
届いた箱を見ると、「え？これってApple製!?」と思うようなソックリな白いパッケージに入っています。箱を並べてもよく似た雰囲気です。
Apple純正は、USBコネクタと接続するタイプと、SDカードを直接差し込むタイプの2つがセットとなっていますが、こちらは「2 in 1」という名前からも分かるとおりで、その2つが1つにまとまっているのです。実際、大きさを比べてみるとわかるように、結構大きくカッコ悪い感じです。とくにiPadと接続するとちょっと恥ずかしいくらいに大きいですね。
問題は、ここから。そもそもコイツはUSBオーディオやUSB-MIDIインターフェイスは認識するのでしょうか？
実はこれが届いた前日、iOS 4.2がリリースされたため、すでにiOS 4.2にアップデートしていたのですが、そのiPadにCCK 2 in 1を接続し、RolandのUA-1Gを接続したところ、何の反応もないのです。そうUA-1Gのインジケータは光らないし、iPad側でエラーメッセージすら出ない。もちろん、音を鳴らしてもiPadのスピーカーから鳴るだけで何も反応しません。
これにはひとつ理由があり、先日のAV WatchのDigital Audio Laboratoryの記事にも書いたとおり、iOS 4.2になって電力供給が少なくなったようで、純正CCKを使ってもUA-1Gの駆動はできなくなっているので、仕方ないところではあります。
次にUSB-MIDIキーボードであるKORGのnanoKEYを接続したのですが、今度はnanoKEYのLEDが点いたり消えたりととても不安定な状況。どうもこれも電源供給不足のようで、まともには動いてくれません。
おかしいなと思ってSDカードのほうを刺してみたら、なんと「デバイスを使用できません」というメッセージが表示されてします。完全な欠陥品ですね。あとで調べてみたところ、iOS 3.2までは使えたらしいのですが、現状は本来のCCKとしての機能をまったく果たしてくれません。
次に試してみたのは、間に電源供給できるUSBハブを入れての接続です。これを使ってみたところ、今度はバッチリ動いてくれました。そうUSBオーディオもUSB-MIDIも動き、両方接続した状態でKORGのiMS-20を動かしたところ、外部キーボードで弾いたものが、高品位なサウンドでUSBオーディオインターフェイスから出てきました。その意味では、一応DTM用で使うことができるわけです。
ただ、これをお勧めできるかというと、やはりちょっと……という感じでしょうか？そもそもSDカードは使えないし、大きいし、USBハブなしではまったく用を成さないし……という具合ですからね。ただ、そのうちジャンクとして、さらに安い値段でアキバなどで出回る可能性はあるので、すごく安ければバックアップ用？に買っておいてもいいのかもしれません。