iPadを昔のSC-55mkIIやProteusのようなPCの外部音源モジュールとして使えたらどうですか? そんな面白い使い方も可能な超強力iPad/iPhone用ソフトシンセ、bs-16iが先日リリースされました。
これはbs-16というVST/AUプラグインとしてリリースされていたSoundFont対応のプレイバックサンプラーをiPad/iPhoneのユニバーサル対応アプリとして移植したもの。ある意味、iPad用で最強といっても過言ではないソフトシンセです。bismarkさんという日本人が開発したというのもポイントです。
bs-16iは2段の鍵盤でプレイができるソフトシンセ。その点では、よくありがちなアプリです。iPhoneで使う場合はiPhoneに最適化された1段の画面表示となりますが、とりあえず起動した際には「ポー」とか「ビー」といったごくシンプルな音が出るだけ。というのも、あらかじめ入っている波形がサイン波やノコギリ波など単純なものだけだからです。エンベロープジェネレータやフィルタ、LFOなどが用意されているので、それなりの音作りはできますが、そうしたアプリはすでにいろいろ登場しているので、そう珍しいものではありません。
しかしbs-16iの最大のポイントは、これがSoundFont対応の音源であるという点です。SoundFontとは、E-MU Systems(Creative Media)が規格化したサンプラーのフォーマットで、市販のライブラリはもちろん、ネットで検索すればフリーのライブラリーがいくらでも入手できるというものです。
たとえば、GS音源のSoundFontを入手し、これをbs-16iに入れるとbs-16iは往年の名機SC-55mkIIに早変わり。本家E-MUが販売しているPROTUESのSoundFontを入手すれば、まさにPROTEUSそのものに! 16マルチティンバー音源なので、これ1台で16パートを同時に演奏できるのです。
しかも非公式ながらSoundFontだけでなくDLSに対応しているのもミソ。Windowsユーザーならc:\windows\system32\driversフォルダに「gm.dls」というファイルが収録されているので、これをコピーしてしまえば、bs-16iがGS音源になってしまいます。そうファイル名は「GM」ですが、これはRolandの「GS」なんですね。
転送方法もとても簡単。WiFi経由でSoundFontファイルをアップロードすることもできるし、iTunesのアプリのデータ転送機能を用いて、転送することも可能です。基本的には、入手したSoundFontをいっぱいiPadに入れておけば、bs-16i側で切り替えて使うことができるのです。切り替えた後は、上下のキーボードで独立して音色選択ができるようになっています。
とはいえ、iPhoneでは鍵盤は1段、iPadでも2段しかないので、16パート使えても一見意味がなさそうに思えるでしょう。ところがここには16マルチティンバーを活用するためのワザがいくつかあるのです。ひとつは、これがMIDIファイルプレイヤー機能を装備していること。そう、先ほどSoundFontファイルを転送したのと同様の方法で拡張子「.mid」のMIDIファイルをbs-16iに転送して、プレイボタンをタップすればを再生することができるのです。もちろん、それに合わせて画面上のキーボードを弾いていくことも可能ですよ。
そして、もうひとつがMIDIケーブルを使ってのコントロールです。iPad/iPhone用のMIDIインターフェイスとして以前にも紹介したLINE6 MIDI Mobilizerというものがありますが、bs-16iはこれに対応しているのです。
そのため、たとえばPCとiPadをMIDI接続するとiPadのbs-16iをまさにSC-55mkIIのような外部音源感覚で使うことができるのです。リバーブやコーラスが内蔵されていて、各チャンネルごとにミキサーで音量やパンの設定ができる点でもよく似ていますよね。もちろん、反対にbs-16iの鍵盤を弾いて外部音源を鳴らすことも可能です。
ただし、ここにはiPadやiPhoneの性能的な限界というかMIDI Mobilizerの限界があり、一度にたくさんの音符データを送っていると、発音タイミングにばらつきが出てしまうのです。そこで、若干のレイテンシーは生じてしまうのですが、バッファを設けてやると、きれいに演奏してくれるようになります。この辺の設定項目も用意されているのはうれしいところです。
ちなみに価格は900円。現在は発売記念ということで半額の450円で販売されているので、今のうちに購入するのがお得ですよ。