Reason5になって何が変わったの!?

ラックに音源やミキサー、エフェクトを自在にマウントしてシステムを組み、シーケンサ機能を使って音楽を作っていく人気ソフト、PropellerheadのReason。そのReasonが約3年ぶりのメジャーバージョンアップをし、Reason 5.0へと進化しました。見た目は従来バージョンとあまり変わらないものの、かなり大きな進化を遂げています。

新たなモジュールが2つ追加されたのとともに、サンプリング機能などが追加されたのですが、今回のバージョンアップでどんな機能が追加されたのか、その概要を簡単に紹介してみましょう。

Reasonが約3年ぶりにメジャーバージョンアップ

DAWで音楽を制作していくのとは異なる、独特の世界を作り上げているReason。実際の電子楽器、レコーディング機材を接続していく感覚でシステムを構築していくため、デバイス好きのユーザーにとっては、たまらないソフトです。登場から10年近くもたつのに、その人気が衰えないのは、Reasonというシステムの完成度の高さからでしょう。

悪い言い方をすれば、初期バージョンも最新のReason5も、見た目はほとんど変わらず、考え方も使い方も変わっていません。ただ、そのバージョンアップの過程で地味に機能強化を図りつつ、強力なシステムへと進化してきました。

今回Reason4からReason5へのバージョンアップにおいては2つのデバイスが追加されています。1つはDr.Octo RexというREXファイル対応のループプレイヤー、もう1つがKongというドラムマシンです。

Dr.Rexを8つ分+αのDr.Octo Rex

Dr.Octo Rexは新デバイスというより、従来からあったDr.Rexの進化系です。簡単にいえばDr.Rex、8つ分を1つのデバイスにまとめてしまったというもので、これによって従来のDr.Rexは姿を消しています。Dr.Octo RexではREXファイルを完全に独立した形で8つ読み込めるだけでなく、各スライスごとの設定も細かくエディットできるようになっているなど、機能的にもDr.Rexより大きく進化しています。

新ドラム音源のKong

一方、完全な新規デバイスであるKongは一見、16個のパッドを持った単なるドラムマシンのようにも見えますが、1つのパッドごとに細かく音を作りこめる強力なシンセサイザなのです。物理モデリングによるバスドラム、スネア、タムタムの3つとシンセサイザで音を作るシンセバスドラム、シンセハイハット、シンセスネア、シンセタムタムの4つの音源、さらにNN-Nano、NurseRexという2つのサンプラーの計9つの音源から選んで基礎となる音を作り、そこに2種類のFX(エフェクト)をかけて1つのパッドの音を作り出すという構造です。

しかもFXにはエフェクト以外にトーン、ノイズを選択することも可能で、これらを利用すればシンセドラムやアナログドラムへと仕上げることも可能です。このKongで遊ぶだけでも、すぐに1日がたってしまいそうです。

ただ個人的にはこれら2つのデバイスよりも魅力的に感じたのがReasonに初めて搭載されたサンプリング機能です。従来のReasonでもあらかじめ自分でサンプリングしたWAVファイルを音源用に割り当てることは可能でしたが、Reason5では、オーディオからの入力を即サンプリングして利用することが可能になっているのです。

各サンプラー系音源で直接サンプリングできる

具体的には先ほどの新音源Kongはもちろんのこと、従来からのドラムマシンであるReDrum、サンプラーのNN19およびNNXTにサンプリング機能が搭載されているのです。使い方はいたって簡単。サンプリングデータを読み込む代わりにサンプリングボタンをクリックすると、サンプリングウィンドウが開いて、即サンプリング=レコーディングが開始されるのです。必要に応じて、サンプリングエディタでエディットすることもできるのでとても便利です。
サンプリング後、エディットも可能

たとえば、ReDrumを起動後、1つ1つの音源にマイクで「チッ」、「ドン」、「パン」……といった声をサンプリングし、ドラムパターンを組み立てると、簡単に声ドラムの完成。慣れれば2~3分でオリジナルドラムキットを作ることもできますから、とっても楽しめます。もちろんドラムだけでなく、サンプリングシンセサイザとしても同様のことができるので、これだけでもバージョンアップの価値がありそうです。

ちなみに、Reason5の登場と同時に姉妹ソフトであるRecordの新バージョン、Record1.5がリリースされています。それに伴い、単体や組み合わせなどいろいろなパッケージが登場しています。中でも複雑なのがアップグレードで、もともとReasonを持っていた人がReason5のみ欲しい場合や、Record1.5もいっしょに欲しい場合など、いろいろなパターンがあり、混乱も起きているようです。どのようにアップグレードすればいいかについて、ReasonのユーザーWebサイトとして古くから運営しているReason-Why.netの記事「Reasonアップデート時に起こっているいくつかの混乱」で詳しく紹介しているので、アップグレードを考えている場合には、ぜひ一度目を通しておくことをお勧めします。

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