iRigでiPadをギターエフェクタ化する

iPadやiPhoneをギター/ベース用エフェクタにするための機材IK MultimediaのiRigが7月19日、メディアインテグレーションから発売されました。ご存知のとおり、iPhoneやiPadのヘッドフォン端子はマイク端子も兼ねており、iPhoneで通話するためのヘッドセットが多数発売されています。このマイク端子を改良してギターやベースでも使えるようにするというのがiRigなのです。

実売価格は4,830円前後と安価なのですが、かなりの人気で現状はまだなかなか入手しづらい状況。事前に予約した人への配布がようやくスタートしたという段階なのですが、この希少なiRigを私も購入したので、簡単にレポートしてみましょう。

iPadやiPhoneをギターエフェクタにするための機材、iRig


このiRig、形状的にはプラスティックの印鑑入れのようなケースに12cmほどのケーブルが飛び出したような製品。このケーブルをiPadやiPhone、また第二世代以降のiPod touchに接続して使います。そしてその印鑑入れ(?)のケーブル側にはヘッドフォン端子、反対側にはギター/ベース入力用の端子が装備されており、ここにそれぞれを接続して使うものとなっています。

片方にギター、片方にヘッドフォンを接続する

このiRigは電池も電源も不要で、単純に接続して使うだけ。とはいえ、単純に配線を切り替えているだけというわけではありません。マイクとギターでは電気的特性が異なるためインピーダンスマッチングということが必要で、そうした回路が入っているはず。ちょっぴり気になったので、iRigを分解してみたところ、小さな抵抗やコンデンサ、またトランジスタと思われるものが小さな基板上に配置されており、これで変換が行われているようです。

iRigを分解してみると小さな部品が…

で、実際にiRigを利用するには当然ソフトが必要になります。IK MultimediaではPC用のソフトとしても有名なアンプシミュレータ、AmpliTubeのiPad/iPhone版であるAmpliTube for iPhoneがリリースされており、これを使うというわけです。
AmpliTube for iPhone

AmpliTube for iPhoneには無償のFREE、350円のLE、2,300円のFullの3種FREE版に入っているアンプシミュレータ類が用意されているのですが、まずはFREEを使ってみました。ここにはアンプシミュレータ(アンプ1種類とキャビネット1種類、マイクはダイナミックとコンデンサの2種類)があるほか、ディレイ、ノイズフィルタ、ディストーションと3種類のストンプ・エフェクタが装備されており、ギターとヘッドフォンを接続すれば、すぐに使うことができます。
FREE版に用意されているディレイ

また、エフェクタを追加したい場合は、ファズ、オーバードライブ、ワウ……と1つにつき350円で追加していくことができます。機能的には、ほかにもチューナー、メトロノームがあるなどなかなか充実しています。PC版のようにDAWと組み合わせるといったことはできませんが、ギタリストならこれだけで1日楽しめるのではないでしょうか。
チューナーやメトロノーム機能もある

実際にiPadに接続してギターを演奏してみると、かなり迫力あるサウンドが飛び出してきます。私自身がギタリストではないからかもしれませんが、素人なりに弾いた感じでは、まったくといっていいほどレイテンシーを感じなく、PC版のAmpliTubeを使って弾いたときと違いは感じませんでした。

設定をよく見てみると、レイテンシー(Latency)の設定があり、iPadではこれが「ULTRA-LOW」となっています。これが具体的に何msecなのかといった表記はないものの、かなり小さそうではあります。iPhone 3Gあたりだと処理速度の問題で「LOW」に設定する必要があるのかもしれません。もっともLOWにしても、それほど気になるレイテンシーというわけではありませんでしたが。
LatencyはULTRA-LOWに設定されている

【関連情報】
IK Multimediaサイト

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