5月27日、ヤマハが記者発表会を行い、Steinbergの業務用DAW、Nuendoの新バージョン、Nuendo 5を8月下旬に発売することを発表しました。価格はオープンですが、現行のNuendo 4と同程度とのことで、通常版が25万円前後、アカデミック版が13万円前後です。
またCubase 5に搭載されているけれど、Nuendo 5にないLoopMashやGroove Agent One、Beat Designerといった音楽制作用のプラグインを補強するためのNuendo 5 Expansion Kitというものも同時に発売されます。こちらもオープン価格で、実売価格は通常版が45,000円前後、アカデミック版が25,000円前後となっています。
従来NuendoはCubaseの上位バージョンという位置づけでしたが、現在は音楽制作用のCubaseに対して、ポストプロダクション、ライブレコーディング、オーディオレコーディングに特化した業務DAWという位置づけになっています。
実際、オーディオエンジンは32bit浮動小数点演算処理でCubase 5とまったく同じもの。またバージョン名からも想像できるように、世代的にCubase 5と揃ったことになります。
業務用を主眼としているだけに、効果音の貼り付け作業を、とにかく効率よく行うなど、作業効率アップが大きなポイントとなっています。また同様の考えからMACKIEコントローラはもちろんのこと、EuConプロトコルをサポートしたEuphonixのコントローラをサポートしたり、YAMAHAのDM2000などのコンソールも利用可能となっています。
また、Nuendoにとって大きな競合となるのがProToolsですが、ProToolsとのデータ互換性を高めているのも大きな特徴です。ProToolsでは1つのトラックに2つのモノトラックを収めるという考え方になっていますが、それをインポートするとともに簡単にコンバートしてインターリーブトラックとして扱ったり、その逆変換を行ってProToolsへ渡すといったこともできるようになっています。
そのほか、ちょっと面白いところでは、ミキサーのチャンネルストリップに波形メーターというものが加わっています。これは再生中の波形を下からスクロール表示するというもので、波形を見ながらのミックス作業ができるので、便利に利用できるかもしれません。
またDTM的な観点からいうとリアルタイムに動作して、自在にピッチをいじることができるPitchDriverというVSTプラグインが追加されたことも大きなポイント。レコーディングしながら、または再生しながら、自在にピッチを変更したり、ハーモニーを作り出すといったことができます。
そのほかにもSurround Panner V5という、より自由度の高くなったサラウンドパンが登場したり、REVerenceというコンボリューションリバーブに、トンネルや宴会場を再現するためのデータが追加されるなど、DTMユーザーにとっても魅力的な機能がいっぱいです。
まだ先になりますが、ぜひ製品が完成したら、試してみたいと思っています。
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