前回の記事で、iPhone/iPad用のMIDIインターフェイスとして登場するLINE6のMIDI Mobilizerという機材について紹介しました。6月に発売される予定で、実売予想価格が7,900円となっていますが、この製品自体は、本当にハードウェアだけが入ったパッケージです。
そのため、単純にこのMIDI MobilizerをiPhoneやiPadに接続しただけでは、何もできません。やはりアプリケーションがあって初めて使えるわけですが、とりあえずすぐに使えるのがLINE6がiTunes App Storeで無償提供している“MIDI MEMO”というソフトです。
今回は、このMIDI MEMOでどんなことができるのかを簡単に紹介してみましょう。
MIDI MEMOはMIDIのリアルタイムレコーディングができるとともに、レコーディングしたデータを再生できるという、非常に単純なソフトです。先に断っておくと、MIDI Mobilizerがキチンと動作するのかを確認できるだけのソフト、と思っておいたほうがいいかもしれません。
とはいえ、そこそこ遊べるソフトでもあったので、ちょっと使ってみました。
まずApp StoreからダウンロードしたMIDI MEMOを起動してみると、「Requires MIDI Mobilizer」というメッセージが表示されます。そう、このソフトはMIDI Mobilizerが接続されていることが前提なので、ハードを持っていない人がダウンロードしても使うことはできません。
その先はいたって単純。MIDIキーボードやMIDIドラムなどのMIDI OUTをMIDI MobilizerのMIDI INに付属ケーブルで接続し、「enable recording」とした上で、RECボタンを押すだけ。
すると、MIDIキーボードやMIDIドラムでの演奏がレコーディングされていくのです。普通、MIDIのリアルタイムレコーディングというと、「テンポを設定して、クリックのモニタリングを可能にして、プリカウントを2小節分設定して、スタート」といった手順を踏みますが、これはただレコーディングするだけ。
できることなら、MIDI Mobilizerに入った信号がMIDI THRUされて、MIDI OUTへ出力されれば、モニター環境を考えた場合、使いやすいのですが、そうした機能はないようです。
演奏が終わったらストップし、今度は、MIDI MobilizerのMIDI OUTを各音源のMIDI INに接続した上で、再生ボタンを押せば、レコーディングしたとおりに再生されるという、ただそれだけなのです。この際、クォンタイズするといった高度な機能はもちろん、テンポの変更や音色の変更なども一切できません。録音したものをそのまま再生するだけです。
ただし、ここでレコーディングした結果はMIDI MEMO内でスタンダードMIDIファイル(SMF)として記録されます。そして、必要に応じて、新たなファイル=プロジェクトを生成しながら、レコーディングをしていくことが可能となっています。
もっとも、これだけではiPhone/iPadで完結してしまう、つまらないソフトとなってしまいますが、実はこのレコーディングされたSMFはPCへ転送することが可能となっています。
といっても、iTunesを使って同期させる……、なんて面倒な手段はいりません。ここから直接メールでファイルを送ることができるのです。その後はPC側でDAWなどに読み込んで加工していくこともできるはずです。
残念ながら、PCからMIDI MEMOへSMFを送るということはできませんが、とりあえずMIDI Mobilizerでごく簡単なMIDIレコーディングはうまく行えました。
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