先日、テレビ番組でウェブカメラがどこも売り切れで入手しづらい……なんて話が出ていましたが、一部のオーディオインターフェイスやマイクにおいても同様なことになってきているようです。工場での生産が止まっていたり、物流が止まって商品が入荷しづらくなっているのに加え、家に閉じこもる状況においてDTM需要が高まっていると同時に、オンライン会議用に利用する人も多いのだとか…。
先日、PreSonus製品やFinale、Zynaptic、Softube…などの製品を取り扱うエムアイセブンジャパングループの直販ショップの担当者と話をしていた際も、そんな話題になったのですが、同社の場合、PreSonusのDTMセット製品、AudioBox iTwo STUDIOが非常に売れているとのこと。先日まで在庫切れしていたけれど、ようやくモノが入ってきて出荷体制が整ったので、学生向けのキャンペーンなどを始めたと話していました。実際何が起こっているのか、話を聞いてみました。
食料品の買い出しで近所のスーパーに行く以外、この2週間ほぼ自宅軟謹慎状況が続いていますが、DTM機材メーカーやソフトウェアメーカー、輸入代理店などの各社とは、頻繁にオンライン会議アプリを使ったミーティングを行っています。もちろん不自由はいっぱいだけど、普段、都内を電車で移動しながら飛び回っている状況からすると、意外と楽で便利かも……なんて思っているところでもあります。
そうした中、先日、Zoomを使ってオンラインで情報交換をしていたのが、MI7グループ公式直営ショップ・MUSIC EcoSystems STOREマネージャーの柳澤圭さん。聞くところによると、東京オフィスは、非常事態宣言以来、ほぼ全員がテレワーク状態とのことで、彼も自宅からのZoom利用。自宅でのんびりなのかと思いきや、かなり忙しくされているようでした。
やはり製品の出荷状況も普段とはだいぶ異なるようで、一般の楽器店は動きが鈍くなっている一方、ネット通販ショップは好調とのこと。中でもバカ売れ状態なのが前述のAudioBox iTwo STUDIOだというのです。
この製品については以前「DAW、オーディオIF、マイク、ヘッドホン全部入りで27,800円、PreSonus AudioBox iTwo STUDIOがスゴイ!」という記事を書いていましたが、現在もMI7ジャパングループの直販ショップ・MUSIC EcoSystemsの価格が26,277円(税込)というもの。
発売時とは若干中身が入れ替わっているのですが、まさにDTM全部入りのセット製品で、現状の2020年版の内容は以下のようなものとなっています。
・Studio One 4 Artistダウンロード版(通常13,000円相当)※
・Studio Magicソフトウェア・スイート(全17種/総額100,000円相当)※
※上記2点はAudioBox iTwo単体製品にも付属
・純正コンデンサーマイクM7 + キャリングケース/変換ネジ付属(非売品)
・USBケーブル(非売品)
・3.0mマイクケーブル(非売品)
・高解像度モニタリング・ヘッドフォンHD7 + キャリングポーチ(実勢価格7,000円相当)
・日本語マニュアル
この中の目玉でもあるStudio Magicソフトウェア・スイートについては、先日も「付属プラグイン、DAWがテンコ盛、PreSonusのUSB Type-C接続オーディオIF、Studio USB-Cシリーズはスペック選びも自由自在」という記事の中で紹介しているので、そちらを参考にしていただきたいのですが、これだけ充実した内容で、26,277円なのだから、売れるのは当然なのかもしれません。
ちなみに、そのAudioBox iTwoは24bit/96kHzまで扱える2in/2outのUSBオーディオインターフェイスで、マイクプリ2基を搭載し、MIDI入出力も備えたというもの。WindowsおよびMacで利用できるのですが、特徴的なのはこれをそのままiPhoneやiPadに接続して利用できるという点。最近の多くのオーディオインターフェイスはUSBクラスコンプライアントという仕様になっているので、Lightning-USBアダプタさえあれば接続できるのですが、このAudioBox iTwoの場合、Lightning-USBアダプタは不要で、iPhone/iPad付属の充電ケーブル(データ通信可能なタイプのもの)で接続できてしまうのが大きなポイントとなっています。
そのため、より幅広い使い方が可能なわけですが、今これが売れている背景には、そうしたDTM用途とは別に、オンライン会議での通話品質を各段にあげることができるという点にあるようです。確かに、ノートPC内蔵のマイクでしゃべるより、オーディオインターフェイスを使うほうが音質は向上するし、さらにダイナミックマイクを使うより、コンデンサマイクを使ったほうがいい音になるのは、われわれのネット配信番組、DTMステーションPlus!でも十分実証済。
とはいえ、どれくらい違いがでるのか、なかなか分かりにくいかもしれません。そこで、柳澤さんに、たとえばZoomを使って会話した場合、どのくらい違いがでるか実証実験できませんか?とお願いして、作ってもらったのが以下のビデオ。
極端すぎるほど、ハッキリと違いが分かりますよね。簡単に状況を解説すると、これは2台のパソコン間でZoomミーティングアプリで繋いでの実験。具体的にはMacBook AirとMacBook Proを接続し、MacBook Air側から送信。その内蔵マイクを使う場合と、AudioBox iTwoに某著名ダイナミックマイクを接続した場合、そしてAudioBoxi iTwo STUDIOに同梱のコンデンサマイク、M7を使った場合で比較しています。
ちなみに「DTMステーション」と低い声で言ってくれているのが、DTMステーションPlus!の番組でも何度か出演していただいたことのある柳澤さんですね!そのあとに流している音楽はiPhoneのスピーカーからGrageBandでドラムループを流したもの。声よりもさらに違いがクッキリなのが分かると思います。
もっともAudioBoxi iTwo STUDIOに限らず、他社製品であってもオーディオインターフェイスとコンデンサマイクを使えば、オンライン会議での高音質化は確実に実現できるけれど、コンデンサマイク1つ買うのでも普通2、3万円してしまうし、どう選べばいいのかも難しいので、最初からセットになっているのは初心者にとっては嬉しいところです。
もちろん他社でもオーディオインターフェイスとコンデンサマイク、モニターヘッドホンのセットは出しているので、これらを使うのももちろんあり。具体的にはSteinbergのUR22C Recording Packや、FocusriteのScarlett 2i2 Studioがありますが、その中で一番安いのが、AudioBox iTwo STUDIOであり、すごく売れているということのようですね。
ちなみに、さきほどのビデオでの実験では、すべて共通の条件にするためにZoomミーティングアプリのオーディオ設定をすべて初期設定のままで行っていたようですが、AudioBox iTwo STUDIOでの利用が前提であれば、マイクの設定で「自動で音量を調節」のチェックを外し、手動で動かしたほうがより高音質になりますよ。ただし、入力レベルは入力ゲインノブを使って、ヘッドホンでモニタしながら適度な音量に調整する必要がありますが……。
ところで、このAudioBox iTwo STUDIOにしてもSteinbergやFocusriteのセットにしても、この手のコンデンサマイク付き機材を買ったときに、「しまった!足りない!」と思うものがあります。それがマイクスタンドです。ダイナミックマイクの場合は手持ちでもいいのですが、コンデンサマイクは、非常に高感度であるがゆえ、基本的に手持ちは厳禁。グリップノイズがすごく大きな音で入ってしまうからです。
普段から利用しているAmazonで買った卓上マイクスタンド
では自宅で使う際、どんなマイクスタンドを使うといいのか。たとえばAmazonで手ごろなスタンドが2種類あるので、紹介しておきましょう。一つは以前から使っているこちらの卓上スタンド。1650円という手ごろな価格ですが、台座部分が鉄製で1.2kgもあるので、大きく重たいコンデンサマイクであっても転ぶことがなく安心。設置場所も小さくて済むのでとっても便利に使えています。
Amazonから購入した、ポップガード、ショックマウント付属の折り畳みアームスタンド
もう一つお勧めなのが、今週購入してみた机に取り付けるタイプの折り畳みアームスタンド。高さや場所を自由に動かせるのがメリットで、マイクを下向きに設置すると、先ほどの卓上スタンドよりもかなり低い位置で運用できるのもポイントです。2,680円という価格でしたがポップガードやショックマウントも付属しているので、悪くない選択だと思います。
こうした装備を用意すれば、ZoomやSkype、Teams、Hangout……といったオンライン会議アプリで高音質にやりとりできるようになるわけですが、もちろん、AudioBox iTwo STUDIOの本来の目的はDTM。Studio One Aritstやプラグインテンコ盛りのStudio Magicソフトウェア・スイートなどが付属しているので、これらを使わない手はありません。仕事や授業のときはオンライン会議アプリを、オフの時間はDTMをという活用をすれば、購入したこのセットを存分に活用できるというわけです。
なお、冒頭でもお伝えしたとおり、現在、エムアイセブンジャパンでは学生向けのキャンペーンとして「新生活(音)楽割2020」というキャンペーンを実施中で、それを利用することで20% OFFクーポンを取得して、購入することが可能となっています。対象となるのは大学、短期大学、高等、専修専門学校等の教育機関に在籍している学生で、学生証を使って申請することでクーポンを入手することが可能です。当初4月30日までのキャンペーンであったのですが、柳澤さんによると非常事態宣言なども影響もあり、5月13日まで延長されることになったのだとか。つまり、今からでも通常26,277円のAudioBox iTwo STUDIOが21,022円(税込)で購入できるので、激安。
ゴールデンウィーク中は在庫切れになっている可能性があるようですが、予約受付は可能で、休み明けから順次発送されるとのことなので、とくに学生のみなさんは、このチャンスをうまく利用するとよさそうですよ。
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