世界中の音楽制作現場で定番となっている、AKG(エー・ケー・ジー、ドイツ語読みでアー・カー・ゲー)のヘッドホンやマイク。そのAKGは1947年にオーストリア・ウィーンで設立され、1949年にヘッドホンを発売して以降、多くのプロに愛用される機器を開発してきました。特にマイクのC414やヘッドホンのK240Studioは、名機として欧米のレコーディングスタジオや放送局などで、プロのエンジニアやミュージシャン達から支持されつづけています。もちろん日本でもAKGはヘッドホン、マイクのブランドとしてもっとも著名なブランドの1つです。
そんなAKGから、今回プロフェッショナルラインのモニターヘッドホンとして、K361-Y3とK371-Y3の2機種がリリースされました。ミュージシャンやエンジニアに正確なサウンドを届けることにこだわって作られたこの2つのヘッドホンは、どちらも密閉型のオーバーイヤータイプとなっていて、非常によく似た見た目となっています。実売価格はK361-Y3が12,000円前後、上位機種のK371-Y3が19,000円前後と、手ごろな価格帯で、ヒビノ独自の3年保証モデルとして発売されます。実際試してみたので、それぞれどんな違いがあるのか紹介してみましょう。
モニターヘッドホンというと、作曲やミックスにおいて、音色や楽器の音量バランスを確認するのに欠かせないものであり、夜中などスピーカーから音を出せない環境では、最終的な音の出口になることもあると思います。そんなモニターヘッドホンに求められるのは、いい音で聴こえるよう色付けされている音ではなく、低音域から高音域までフラットに再生してくれてる、原音への忠実さです。
そこで再生された音で楽曲を判断していくことになるため、いくらいい音源やいい楽器を使っていたとしても、音を判断する環境が悪ければ、変に低音が出すぎてしまったり、高音がキンキンになってしまったり、他の環境で自分の楽曲を再生したときに、意図しない音になってしまいます。
そのため、的確に音を判断できるモニターヘッドホンが必要なのですが、K361-Y3とK371-Y3はモニターヘッドホンに必要な条件を満たしているためDTMに適しているのです。K371-Y3の再生帯域は5Hz~40kHzとかなり広く、K361-Y3も15Hz~28kHzと十分に再生してくれるので、音の細かい部分までモニタリングすることができます。実際に聴いてみると、両機とも音の分離感がよく、かなり低音まで聴き取ることができ、高音に関してもきれいに再生されるので、音の判断がしやすいと思います。また中高域の再現性が高く、リアルな音を聴くことができますよ。
2つを比べてみると、K371-Y3のほうが全体のレンジ感が広く、奥行き感が分かりやすいといった印象でした。一方でK361-Y3も悪くなく、レンジ感や奥行き感などが、ほんの少しだけ違うだけで、むしろK361-Y3のほうがまとまり感があるので、この辺は好みの違いになってくると思います。
さて、デザイン的なところを見てみると、なにかお気づきの方もいるかと思います。そうAKGのヘッドホンというと円形のイヤーパッドという印象がありますが、K361-Y3とK371-Y3は楕円形のイヤーパッドとなっているのです。その理由は、持ち運びやすくするため、とのこと。長さを調整するヒンジ部分をクルっと回転させると、折りたたむことができて、付属のキャリングポーチに入れれば、コンパクトに持ち運ぶことができます。自宅でのモニタリング環境をそのままスタジオや外に持っていけるのは、嬉しいところですよね。
また、K371-Y3のヘッドバンドとイヤーカップをつなぐアーム部分には金属製のパーツが用いられていて、外に持ち出したりしても、ちょっとやそっとじゃ壊れない作りになっています。それこそ厳しい耐久テストを行い、優れた耐久性を確保しているそうなので、安心して使うことができそうです。その割には、重さは256gとちょうどいい重量感なので、普段ヘッドホンを付けなれている方であれば、「重すぎる!」と感じることはないでしょう。この金属製のパーツが使われている見た目も高級感が出ていてなかなかカッコいいですよね。
ちなみに、K361-Y3とK371-Y3ではヘッドホンケーブルの端子に違いがあり、K361-Y3は2.5mmプラグなのに対し、K371-Y3は他のAKGヘッドホンなどでも採用されているMini-XLR端子となっています。どちらも簡単にリケーブルすることができて、断線時に交換したり、好きなケーブルに変えることだってできます。
もともと付属しているケーブルとしては、K361-Y3には3mストレートケーブル、1.2m ストレートケーブルの2本。K371-Y3は、3mカールコード、3mストレートケーブル、1.2mストレートケーブルの3本です。付属しているケーブルはどちらともプレイヤー側の端子が3.5mmステレオミニジャックとなっていて、6.3mm標準プラグへの変換が付いてきます。どれを使うかはユーザーの好み次第ですが、デスクトップでの作業であれば、あまり長いものは必要ないと思うし、スッキリさせたいところなので、1.2mのストレートケーブルはちょうどいいところだと感じました。もちろん、普段持ち歩いて使うという意味でも短く軽量な1.2mは嬉しいところです。
ところで、DTMで音楽制作する過程で、長時間装着することになるヘッドホンの装着感は重要なところですよね。イヤーパッドが薄いと耳が痛くなってしまったり、ヘッドバンドが硬いと、長い時間着けていられないものです。その点に関しては、K361-Y3、K371-Y3どちらとも若干の素材の違いはあるものの、イヤーパッドに厚みがあり、肌触りがすごくいいので、ストレスなく着けていられます。またヘッドバンドに関しても、これまた柔らかく手触りのいいクッションが採用されているので、痛くならないですし、長い期間使用してもへたりにくそうです。
実際に装着してみると、耳全体をすっぽり覆うタイプのイヤーパッドになっているので、音に集中することができます。さらにいうと、このイヤーパッドは耳の周囲の形状に合わせて変形する低反発素材を使用していることなので、音漏れしにくく、レコーディング時などにも余計な音がマイクに乗るのを防ぐことができそうです。また横のスライダーの長さは、11段階の調節が可能なので、ちょうどいい位置に固定することができます。
以上、K361-Y3とK371-Y3でしたが、両機ともデザインがカッコいいし、まさにプロ仕様のDTMに最適なヘッドホンだと思います。また、ヒビノ独自の3年保証モデルもついているので、長く愛用できそうなヘッドホンです。
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K361-Y3店頭展示
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