すでにインストールして使っている方も多いと思いますが、先日5月21日にPreSonusのStudio One 4.5がリリースされました。これまでのStudio One 4.1.4から、大きく飛んでの4.5。Studio One 3のときは3.0、3.1、3.2、3.3と進んでから0.1飛ばして3.5という流れだったので、「今回はバージョンアップが速いな…」という印象です。Studio Oneに限らずx.5というバージョンは、ある種メジャーバージョンアップに近い位置づけのものが多いですが、Studio One 4.5も70に及ぶ新機能・機能向上などが図られているとのことなので大きな進化といえそうです。
しかも従来のStudio One 4のユーザーは無償で4.5にアップデートできるのも嬉しいところ。もっともStudio One 4 Primeの場合は、そもそもが無償のフリーウェアDAWだったわけですが、Studio One 4 Professional、Sutdio One 4 Artistと並んで、Studio One 4 Primeも4.5へのアップデート対象となっているのも嬉しいところです。すでにバグフィックス版のStudio One 4.5.1もリリースされており、トラブルの心配なく使うことができそうです。リリースからだいぶ遅れてのレビューとなりますが、Studio One 4.5で何が変わったのかなど、紹介してみましょう。
Studio Oneユーザーであればご存知の通り、Professional、Artist、Primeというグレードはインストール後にインターネット経由で認証を掛ける際に決まるものであり、インストーラ自体は共通となっています。そのため、いずれのグレードも同時に4.1から4.5へとバージョンアップしたわけですが、実際に試してみると、さまざまな強化がなされています。
実際、ユーザーとして一番嬉しいのはパフォーマンスの向上だと思います。もともとStudio One 4は非常に軽いDAWではありますが、今回の4.5へのアップデートでオーディオエンジン回りを大きくブラッシュアップした模様で、より軽くなり、プラグインの負荷などが小さくなっているのです。
これは使ってみるとすぐにわかりますが、Sutdio One 4.1だと、プラグインの入れすぎで重くなりすぎて動かなかったようなプロジェクトが、Studio One 4.5だと軽々と動作してくれるのです。PreSonusによれば、Studio One純正プラグインで約70%、サードパーティ製の音源で約50%低減しているとのこと。
田辺恵二さんの実験を見ても、大幅に負荷が軽減されているのがわかる
これだけのパフォーマンス向上、にわかには信じられないかもしれませんが、その背景にはマルチコアCPUへの最適化があるそうです。最近のCore-i7などのCPUだとマルチコア、マルチスレッドに対応しているわけですが、これらをうまく利用して、分散処理させることで、効率よく動くのです。作編曲家の田辺恵二(@KG_Tanabe)さんが主宰するユーザー・グループ「Studio Oneをもっとよく知ろうの会」での実証実験を見てみても、確かに70%近くCPU負荷が軽減しているのです。
これだけのために4.1から4.5へアップデートする価値は大きいと思います。ちなみに上記の実験では1つのインストゥルメントトラックに、モデリングシンセサイザのMaiTaiを16個並べて同時に動かしての実験。サードパーティーであるNative InstrumentsのKONTAKTを使った実験でも同様に大きく負荷が低減されていることが確認できました。
一方、Studio One 4.5になって、ミックスコンソールも大きく進化しています。1つ目としては入力コントロールにゲインとフェイズスイッチが追加されました。このゲインは、トラックから、このミキサーに入ってくる信号をコントロールするもの。「フェーダーと何が違うの?」と思う方もいると思いますが、これはエフェクト処理の手前で音量をコントロールするものなので、たとえばコンプレッサの効き具合をいい感じに調整する……といったことが可能になるわけです。またフェイズスイッチは位相を反転させるもので、ステレオの場合はLとRそれぞれ独立して反転させることが可能となっています。
このゲインとフェイズスイッチは入力ミキサーにおいても同様に搭載されているので、レコーディングの時点で最適な状態で取り込むことが可能です。このゲインとフェイズスイッチ、オーディオインターフェイス側をコントロールしているのかな……と思ったのですが、PreSonusのオーディオインターフェイスに限らず、どのオーディオインターフェイスでも使えるようなので、Studio Oneに入ってきてからの信号を調整しているようですね。
また、各チャンネルのピークメーターのところを右クリックしてみると、通常のPeakのほかにRMSメーターとしてつ明けるPeak/RMSを選択できるようになりました。これはチャンネルごとに個別に設定できるようになっているんですね。また、ピークホールドにチェックを入れておくと、ピークホールドが可能となり、そのホールド時間の設定もできるようになっています。
ほかにも、いくつか新機能をピックアップすると、とても簡単に使えるようになったのが、サイドチェーン。サイドチェーンとは、たとえばベースにコンプレッサを掛ける際、キックが鳴ったら、その強さに応じてコンプレッションを強くするというように、エフェクトのかけ具合を、ほかのトラックの状況に応じ変えるというもの。これまでももちろんサイドチェーンを使うことはできたのですが、Studio One 4.5では、より簡単に掛けられるようになったのです。
具体的にはサイドチェーンに対応するエフェクト、たとえばコンプレッサにおいてサイドチェーンというボタンがあるので、この右の矢印ボタンをクリックすると、どのトラックからの信号でサイドチェーンするかを選択することができるのです。これはチェックする形で設定できるので、複数のトラックを設定することも可能。もう、これだけでサイドチェーンの設定は完了。必要に応じてサイドチェーンのゲイン調整などを行うことも可能になっています。
さらに、ほかのトラックでも同様のサイドチェーン設定を行いたいという場合は、そのプラグイン(ここではコンプレッサ)をそのままドラッグ&ドロップで持っていけばOK。これも非常に効率のいい設定ができますね。
ほかにもグループ機能が強化されたり、I/O設定が強化されてI/O設定のインポート/エクスポートが実現できるようになったり、コード・セレクターでのコード試聴オプション追加されたり……などなど、さまざまな機能が追加されています。
遅ればせながらもStudio One 4.5.1 Professionalをいろいろ試してみたところ、かなり安定して動作するので、「いま、曲の制作中なので、環境を変えるのが怖い……」という人でも、まず問題なく使うことができそうです。それよりもパフォーマンスの向上により従来よりも安定的に使うことができそうです。
このStudio One 4.5の新機能については、前述の田辺恵二さんによる「StudioOneをもっとよく知ろうVIDEOS」がVol.1~4までYouTube上にUPされているので、これを見ると参考になりそうです。
さらに6月18日、その田辺恵二さんをゲストに及びして、DTMステーションPlus!においてStudio One 4.5特集をニコニコ生放送およびYouTube Liveにて放送いたします。視聴者のみなさんの質問にもお答えしつつ、番組を進めていきますので、ぜひご覧になってみてください。
【第131回 DTMステーションPlus!】
2019年6月18日(火) 20:30~22:30
ニコニコ生放送 https://live.nicovideo.jp/gate/lv320412513
YouTube Live https://www.youtube.com/watch?v=GUdJmMQ29dc
【StudioOne Ver4.5解説動画】
StudioOneをもっとよく知ろうVIDEOS Vol.31
StudioOneをもっとよく知ろうVIDEOS Vol.32
StudioOneをもっとよく知ろうVIDEOS Vol.33
StudioOneをもっとよく知ろうVIDEOS Vol.34
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Studio One 4製品情報