6月12日、Native Instrumentsから新たなオーディオインターフェイス、KOMPLETE AUDIO 6 MK2が発売されました。パッと見は、先日発売されたエントリー機、KOMPLETE AUDIO 1やKOMPLETE AUDIO 2とよく似ているのですが、こちらは入力が6系統、出力も6系統で、アナログだけでなく、S/PDIFを使ったデジタル入出力も可能というもの。
もちろん最高で24bit/192kHzに対応するとともに、+48Vのファンタム電源を2つにマイクプリアンプも2つ搭載。2つのLINE/INST切替スイッチによって、マイクもギターも2つまで接続可能となっています。また独立してボリュームコントロールできるヘッドホン出力も2系統装備。さらにMIDIの入出力端子を装備した上で、極めつけはDCカップリング対応によってアナログシンセサイザーとCV/GATE接続できるという機能までもったオーディオインターフェイスなのです。まさに小さなボディーにすべての機能を詰め込んだオールマイティーなオーディオインターフェイス。それがACアダプタ不要で、USBバスパワーで動作し、価格は税込みで25,800円というのですから、驚きです。もちろん、Native Instrumentsの製品なので、バンドルされるソフトも盛りだくさん。まさにオーディオインターフェイス界に殴り込みをかけてきた新製品といえそうですが、実際に使ってみたので紹介してみましょう。
オーディオインターフェイスなど、実際の音を入出力させる機材を選ぶなら、実績のあるハードウェアメーカーで……、そんな思いを持った人も少なくないと思います。私自身も、なんとなくそんな思いを持っていて、Native Instrumentsが以前に、今回機種の前身となるKOMPLETE AUDIO 6を出したときには、あまり真剣にチェックしていませんでした。
ところが昨年のキャンペーンがきっかけでKOMPLETE AUDIO 6を改めて使ってみたところ、思いのほかいいオーディオインターフェイスで驚いた次第。「NIがDTMスターターキャンペーン実施中。6IN/6OUTのオーディオIF、KOMPLETE AUDIO 6を買うとGuitar Rig Pro、Cubase LE、Traktor LEほか各種音源がてんこ盛りで付いてくる!」という記事で紹介しました。
手前が従来のKOMPLETE AUDIO 6、奥が新しいKOMPLETE AUDIO 6 MK2
今回発売された製品は、MK2となっていることからも分かるとおり、その後継機となるわけですが、デザインもガラリと変わるとともに、機能も大きく向上しているのです。もっとも、製品そのものにはMK2という表記はなく、従来通りのKOMPLETE AUDIO 6と記載されているのは他のNative Instruments製品と同様ですね。
大きなボリュームノブが上面に搭載されているのが大きな特徴
では、そのKOMPLETE AUDIO 6 MK2について、より細かく見ていきましょう。まず形状からですが、これはハーフラックサイズのオーディオインターフェイスですが、他社の同サイズの製品と大きく異なるのは前面・背面に入出力端子が並ぶほか、上面に大きなボリュームノブがあるとともに、LEDによるレベルメーターが用意されているという点。ラックマウントしたいというニーズには対応しにくいけれど、デスクトップ上で作業するのであれば、とっても扱いやすいですよ。
LEDによる入出力レベルメーターが搭載されている
6IN/6OUTの内訳ですが、入力についてはフロントにコンボジャックが2つ、リアにTRSのライン入力が2つ、さらにコアキシャルのS/PDIFが搭載されています。つまりアナログが4系統にデジタル2系統の計6INというわけですね。フロントのコンボジャックはキャノンケーブルでマイクに接続することができ、48VというボタンをONにすればコンデンサーマイクを使用することができます。
フロントにはコンボジャックを2つ搭載し、LINE/INSTスイッチで入力切替が可能
また、コンボジャックの横にはLINE/INSTと書かれたスイッチがあり、これをLINEにすればハードウェアシンセサイザーやオーディオ機器のライン出力を接続することが可能。INSTにすればパッシブのギターやベースを接続することができます。いわゆるHi-Z入力というヤツですね。
リアにはTRSフォンの入力が2つ、出力が4つ用意されている
リアの標準端子にはTRS(ヘッドホンジャックと同様の3極でモノラル信号を送るバランスケーブル)で各種機材と高音質接続が可能。アナログで計4系統あると、かなり利用範囲が広がりますよね。
S/PDIFの入出力、さらにはMIDI入出力も装備
さらに重要だと思うのがデジタルのS/PDIF入力です。最近の5万円以下のオーディオインターフェイスでS/PDIFを搭載しているものが、ほとんどなくなってしまい、残念に思っていたのですが、デジタル入出力があるというのは嬉しいところ。外部のデジタル機器と音質劣化なく接続できる端子を装備している意味は大きいと思います。
DAW側から見ると6IN/6OUTのオーディオインターフェイスとして認識される
一方の出力はというとリアにアナログのTRSのラインアウトが4系統と、デジタルのS/PDIF出力という構成。さらにフロントの右側にはヘッドホン出力が2つ搭載されているのが大きなポイントとなっています。このヘッドホン出力はそれぞれボリューム調整ノブが用意されていて、別々に音量をコントロール可能。ただし、出力されるのは、いずれもアナログのOUT 1/2がモニターされるようになっています。
※2019.6.12追記
従来のKOMPLETE AUDIO 6での押ボタン式の1/2、3/4スイッチは、ヘッドホンモニターする音がPC出力の1/2chか3/4chかを切り替えるものでした。この新機種でスイッチはダイレクトモニタリング用のもので、意味合いが異なります。またヘッドホンでモニターできるPCからの音はは1/2ch固定となります。
別々のボリュームコントロール可能なヘッドホン端子も2つ装備
またこのヘッドホン出力はその左にある「INPUT~HOST」と書かれたボリュームノブでPCからOUT 1/2の音をモニターするのか、KOMPLETE AUDIO 6 MK2のアナログ入力に入ってきた音をダイレクトモニタリングするのかのバランス調整ができるようになっているのです。しかも、ダイレクトモニタリングに関しては、MONO/STEREOスイッチでモノラルにするかステレオにするかを決めることもできるなど、まさに至れり尽くせり。
Windowsにおいてはドライバをインストールして使い、Macの場合はドライバ不要でそのまま利用可能
たとえばIN 1だけにギターを1本接続してダイレクトモニタリングする場合、STEREOモードにすると左チェンネルからしか音が出てこないけど、MONOにしておけば左右からちゃんと音が出てくるというわけですね。
そして、個人的に非常に重要だと思うのは、これがUSBバスパワーで動作する、という点です。他社のオーディオインターフェイスの場合、アナログ4ch以上あるものだと、そのほとんどがACアダプターが必要となります。もちろん、そんなの気にならないという人も多いとは思いますが、やっぱりACアダプタ不要でUSBケーブル1本でOKというのは、手軽で便利なんですよね。みなさんはどう思われますか?
さらにもう一つ特筆すべきは、これがDCカップリングに対応しているため、アナログのOUT 1~4をオーディオ出力としてではなく、CV/GATE出力として利用可能になっている点。これに関しては、今いろいろ実験中なので、後日改めてその利用法などをレポートする予定なのでお楽しみに。
そんなオールマイティーな6IN/6OUTオーディオインターフェイスのKOMPLETE AUDIO 6 MK2ですが、Native Instrumentsの製品というだけあり、非常に魅力的なのがバンドルされるソフトウェア群です。
具体的にそのラインナップを紹介すると、以下の通り。
MONARK | アナログシンセの名機、MiniMoogをシミュレーションする音源 |
MOD PACK | フェイザー、コーラス、フランジャーの3つのエフェクトのセット |
REPLIKA | モジュレーションやフィルタ、フェイザー機能も持つパワフルなディレイ |
SOLID BUS COMP | SSLのバスコンプをモデリングしたコンプレッサー |
MASCHINE Essentials | NIのMASCHINEのエントリー版 |
Ableton Live 10 Lite | DAWとして人気の高いAbleton Live 10のエントリー版 |
TRAKTOR LE 3 | DJソフトのTRAKTOR PRO 3のエントリー版 |
KOMPLETE START | 7つのシンセと9つのサンプル音源、2つのエフェクトなどのセット |
2 FREE VOUCHERS | Sounds.comの2か月無料アクセスとNIオンラインストアの割引券 |
今回、これらソフトに関しての詳しい紹介は省きますが、これだけのものが付属しているって、すごいですよね。「MASCHINEは気になっていたけど、使ったことがなくて……」なんて人も、このMASCHINE Essentialsで一通りのことはできてしまうし、PC DJの代名詞的なソフト、TRAKTORのエントリー版、TRAKTOR LE 3も付属しているわけですから、いろいろ使えそうです。
KOMPLETE AUDIO 6 MK2にバンドルされるMASCHINE Essentials
このバンドルソフトだけでも5万円以上の価値があるのでは……と思ってしまいますが、オーディオインターフェイスとして、これだけの機能を持ち、付属ソフトも充実して、税込み25,800円という価格設定はちょっと安すぎではないか……というのが正直な感想。このKOMPLETE AUDIO 6 MK2の登場によって、オーディオインターフェイスのシェアも大きく変わってくるのではないでしょうか?
【関連情報】
KOMPLETE AUDIO 6 MK2製品情報
Native Instrumentsウェブサイト
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