私個人的にも20年以上使い続けているオーディオエディットソフトのSOUND FORGE。このDTMステーションでも何度か取り上げてきた通り、その開発元は米Sonic Foundry、米SONY Creative Softwareを経て、現在は独MAGIXと変遷してきましたが、その使い勝手の良さ、軽さ、高機能性は踏襲されてきており、私にとっては無くてはならない重要なツールとなっています。
そのSOUND FORGEの上位版、SOUND FORGE Proがバージョンアップし、SOUND FORGE Pro 13となります。すでに英語版は発売が開始されていますが、現在は日本語化作業が進められており、6月にソースネクストから日本語版がリリースされる予定です。それに先駆け、本日より5月31日までの期間限定でSOUND FORGE Pro 12+13という製品(Windows用です)がソースネクストお得意の大特価価格、88%引きの9,980円で発売されています。これはまずSOUND FORGE Pro 12を入手し、6月の発売と同時に13をダウンロードできるというパック製品で、この13にはiZotopeのOzone 8 Elements(実売価格:13,000円前後)に加え、RX 7 Elements(実売価格:16,000円前後)も入っていることを考えると衝撃的価格。まだSOUND FORGE Pro 13の日本語版が完成してないようなので、英語版を入手して、どんな機能強化が図られたのか試してみました。
改めてSOUND FORGEについて簡単に紹介すると、これはオーディオエディットソフト、波形編集ソフトと呼ばれるもので、WAVファイルやMP3ファイル、AACファイルなどのオーディオデータを読み込んで編集、加工する……というシンプルなソフト。DAWのように多重録音したり、MIDIを扱ったり、ミックスするようなことはできず、単にオーディオを編集するだけなのですが、そこに特化しているからこそ、本当にサンプル単位での細かな編集ができるし、単機能だから、すごく軽いというのが特徴でもあります。
今回英語版のSOUND FORGE Pro 13を試してみた
そのため普段のちょっとしたオーディオ編集用に手軽に便利に使えるという一方で、SOUND FORGE Pro 12でDDP出力ができるようになったので、マスタリング用にも使うこともできます。またバッチ処理といって一連の作業を覚えさせ、数百、数千というファイルに対して一括処理を行うことができるため、膨大なオーディオファイルを扱うゲーム業界での定番ツールともなっているようです。たとえば「24bit/48kHzのWAVファイルを読み込んだ上で、フィルター処理をした上で、ノーマライズをして、最後にフェードアウトをかけた結果を16bit/44.1kHzに変換してMP3ファイルで保存する」といった作業を覚えさせて実行すれば、一晩のうちにコンピュータが処理をしておいてくれる、というわけですね。
さて、そんなSOUND FORGEの上位版がSOUND FORGE Pro 13として、先日海外で発売されたわけですが、最初に思ったのは「13というバージョンで発売されるんだ!」ということ。海外ソフトって13を避ける傾向にあるので、バージョン12あたりで、バージョン名を西暦に変えたり、Xといった文字を用いてきたりするものが多かったように思いますが、普通にSOUND FORGE Pro 13としてきたんですね。
高音質にタイムストレッチ、ピッチシフトが可能なélastiquePro v3エンジンを搭載
では実際そのSOUND FORGE Pro 13でどんな新機能が搭載されたのか見ていきましょう。いろいろな機能向上が図られていますが、1つ目に挙げるのはタイムストレッチとピッチシフトの性能向上です。これは新しくなったélastiquePro v3エンジンを搭載したことで、10秒の音を15秒に引き延ばすなど、かなり派手にタイムストレッチを行っても、音の違和感がなく自然な音にしたり、ボーカルを3音上げるなどしても、自然な感じでの歌声にするといったことが実現できています。élastiquePro V3自体はほかのDAWでも搭載しているものがありますが、SOUND FORGEに搭載されたことで、より使いやすくなりました。ちなみに、このélastiquePro V3エンジン部分は、すでに日本語化がされているようですね!
ARA2搭載により、Melodyneとの連携もスマートになる
次にあげるのはVSTエンジンの向上とARA2のサポートです。SOUND FORGEはVST2およびVST3のプラグインに対応していますが、その部分の安定性とスピードがより向上したとこのことで、より性能向上しているようです。まあ、もともと使いやすいもので、とくに困ったこともなかったですが、処理速度などが向上しているのであれば嬉しいところです。
一方、まだこの試してみた英語版SOUND FORGE Pro 13では、動作確認できなかったのですが、ARA2をサポートしたとのこと。ARA2はStudio OneやCakewalk by BandlabSONARなどに実装されている機能で、MelodyneやAuto-Tuneなどのソフトと有機的に連携するというもの。SOUND FORGEの機能のように統合されるという機能です。もちろん、これを使うにはMelodyneやAuto-TuneなどのARA2対応ソフトが一緒にインストールされている必要はありますが、ボーカルエディットなどにおいて、Melodyneなどの手を借りつつ、波形編集も同時にできるようになる、というわけですね。
一方で、SOUND FORGE Pro 13を起動して、おや?と思ったのが画面の色についてです。そう従来見慣れた白地に青の波形の画面ではなく、今のDAW風なダークな画面配色になっていたんです。今回UI系も少しいじったようですが、オプション設定において、
Medium
Light
White
という4つのインターフェイスタイプが用意されたので好みに応じて変更することが可能になっています。もともとのSOUND FORGEの配色が好きなら、Whiteを選べばOKみたいですね。また、ちょっとオモチャっぽくなった気もしますが、各アイコンのデザインがカラフルなものに変更されていますね。
画面の配色が新たになったのと同時に、アイコンも変更されている
マスタリング機能が充実してきた中、ピークメーターにPeak Meter V2という新しいものが追加され、これがデフォルトとなっています。これは、現在の業界標準の表示の仕方に変更したというもので、ビジュアルフィードバックの仕方が以前のものと少し変わっているんですね。またIEC Type I、Type II、K-12、PPM+RMS……など各種規格のプリセットも用意されており、必要に応じてピークメーターをカスタマイズして使うことも可能になっています。
新たにPeak Mater V2というものが追加された
今回標準搭載のエフェクトとしてcoreFX SUITEというものが追加されています。これはMAGIXが持つプラグイン群のようで、
coreFX Compressor
coreFX Delay
coreFX Expander
coreFX Flanger
coreFX Gate
coreFX Limiter
coreFX TwoPointCompressor
と8種類が使えるようになっていました。試してみたところ、そのままではほかのDAWからは認識されませんでしたが、Sound Forge Pro 13の中のフォルダを指定してみたところ、CubaseやStudio Oneからも使うことができました。
coreFXという8つのプラグインが追加されている
このプラグイン関連で、もう一つ重要なのはこれまで入っていたiZotopeのOzone 8 Elementsに加え、SOUND FORGE Pro 13にはRX 7 Elementsも入っている、ということです。これまでOzone 8 Elementsは、SOUND FORGE関連にバンドルされていたほか、別のところでも付属しているケースが多かったのですが、RX 7 Elementsの登場は初ではないでしょうか?今回、ここで詳細な解説は省きますが、ノイズ除去・オーディオ修正ソフトのデファクトスタンダードであるRX 7のエントリー版。これ単体で購入するとAmazonで17,280円、Rock oNのキャンペーン版でも10,584円となっているので、これだけでも元がとれちゃうと思いますよ。ちなみに、SOUND FORGE Pro自体はWindows用ですが、Ozone 8 ElementsもRX 7 Elementsも、Macでの利用が可能となっていますよ。
iZotope Ozone 8 Elementsに加えRX 7 Elementsも標準バンドルされている
今回、テストしてみたSOUND FORGE Pro 13は海外で発売されている英語版であり、6月に発売される日本語版とは見た目などが少し異なる可能性があるのはご了承ください。冒頭でも紹介したとおり、5月31日までの期間キャンペーンで88%引きとなっているのは、今とりあえずSOUND FORGE Pro 12を入手し、6月の発売と同時にSOUND FORGE Pro 13が入手できるというセット商品です。この13を入手しても12は使い続けることが可能であり、別ライセンスの扱いとなるので、自宅のデスクトップには13を入れて、持ち歩くノートPCには12を……といった使い方も可能です。
またSOUND FORGE Proの場合、1つのライセンスで2つのPCまでインストールが可能になっているため、12で2台、13で2台とトータル4台のPCにまでインストールすることが可能になるわけです。また、MAGIXのライセンス管理のページにアクセスすることで、ディアクティベーションも可能ですから、マシン環境を頻繁に変更する人にとっても使いやすいライセンス体系になってます。iZotope Ozone 8 Elements & RX 7 Elementsがいつまで搭載されているかはわからないので、このタイミングで入手しておいて損はないと思いますよ。
オンラインストレージのDropboxの有償版がセール中
SOUND FORGE Proとは直接関係ないですが、同じソースネクストが5月31日まで、Dropboxの有償版、Dropbox Plus 3年版を6,000本限定の特別価格で販売しています。Dropboxは無償で使えるクラウド型のストレージであり、音楽データのやり取りに活用している人も多いと思いますが、この無料版の場合2GBまでとなっています。それに対し、有償版のDropbox Plusでは1TBまでと容量が格段に大きくなります。
無料版 | Dropbox Plus | |
価格 | 無料 | 月払い:1,200 円/月 年払い:12,000 円/年 |
容量 | 2 GB | 1 TB (1,024GB) |
利用可能台数 | 3 台 | 無制限 |
オフラインでファイルアクセス | × | ○ |
データの遠隔削除 | × | ○ |
優先メールサポート | × | ○ |
またご存知の方も多いと思いますが、先日Dropboxの利用可能台数が3台までと制限され、ちょっと使いづらくなった面がありますが、有償版だと無制限となっているんですね。またオフラインでのファイルアクセスやデータの遠隔削除といったもとも有償版であれば可能となっています。その3年版をDropbox公式で購入するより11,200円安い24,800円で購入できるので、Dropboxの有償版の導入を考えていた人は、これを入手してしまうのがよさそうですよ。
【価格チェック&ダウンロード】
◎ソースネクスト ⇒ SOUND FORGE Pro 12+13
◎ソースネクスト ⇒ Dropbox Plus 3年版