1人でも、コーライトでも、バンドでも!!『モンスターストライク』リミックスコンテスト vol.1 受賞作品の作り方

現在「XFLAG SOUND CREATORS」主催のリミックスコンテストの第2弾「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」開催中ですが、前回のリミックスコンテスト【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.1の受賞作品が発表されました。募総数170通の中から実際に入賞作品に選ばれた9組のうち、今回2組にお話を伺ってみました。

受賞作品は「B.B.Q. with SOUND CREATORS vol.1」というコンピレーションアルバムとして、日本コロムビアからデジタル配信されているので、聴くことができるのですが、どれも完成度がかなり高いものばかり。このリミックスコンテスト vol.1になぜ参加されたのか、どんなコンセプトで作ったのか、どんなツールを使ってつくったのかなど、Blacklolita(ブラックロリータ)さんとAvans(アヴァンス)さん、PinotFG(ピノFG)さんにインタビューしてみました。

【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.1の受賞者のうちの3人にお話しを伺ってみた

今回のリミックスコンテストの受賞作品、計9曲が収録された「B.B.Q. with SOUND CREATORS vol.1」はい、以下のApple Musicから聴くことができます。

この中の1曲目は、近谷直之賞、sleepfreaks賞、サウンド&レコーディング・マガジン賞、さらにはDÉ DÉ MOUSEさん、フェイス(サウンド・プロデューサー/吉村祐)さん、BARKS(編集長/烏丸哲也)さんからも特別選出作品に選ばれた作品。Glitch Hopというクラブジャンルで楽曲をアレンジされた、BlacklolitaさんとAvansさんにお話を伺ってみました。

--さっそくですが、簡単に自己紹介をお願いします。
Blacklolita:年齢は24歳です。現在はフリーランスでゲーム系の音楽や音色制作行っています。また。今回一緒にモンスターストライクメインテーマをリミックスした、Avans君と一緒にサンプルパックデベロッパーを最近始めました。
Avans:僕は26歳、半分フリーランス、半分業務委託で音楽制作しています。他にもサウンドプロデューサー・アドバイザーみたいなこともしています。それと、Blacklolita君も言ったように、サンプルパックを販売するデベロッパーのKYMOGRAPH(キモグラフ)というものがありまして、そちらでの活動もしています。

Avansさん(左)とBlacklolitaさん(右)

--お二人はどういう繋がりなんですか?
Blacklolita:もともとはネット上でめちゃくちゃ曲を作れる人がいるじゃんっと思い、連絡を取っていて、その後共通の知人を介して直接知り合いました。そして、大学卒業後にフリーランスとして仕事をすると同時にAvans君とルームシェアを始めました。Avans君からは音楽理論だったり、音作りなど、音楽の知識を教えてもらった、いわば師匠ですね。
Avans:ルームシェアを始める以前は、フリーランスで楽曲制作をしていました。そもそもプレイヤーとしての時間が長く、一通りの楽器は弾くことができます。メインはピアノとギターですね。変わった楽器だと民族楽器の二胡を弾けたりします。それから、学生時代はいろいろなジャンルのバンドを掛け持ちしていましたね。その後、楽曲制作の方にシフトしていきまして、最初はマルチトラックレコーダーを使って音楽を作っていましたが、その後Logicを使うようになり、いまもここでLogicを使って作業をしています。

--今回、このリミックスコンテストに参加したキッカケを教えてください。
Blacklolita:僕が実家に帰っているタイミングでTwitterで知りました。「モンスターストライクのリミックスコンテストが開催されてて、サックスとドラムをもとにリミックスするらしいぞ」とリツイートで回ってきて、面白そうだったので、Avans君に相談したのがキッカケですね。それから、サウンドデモを一通り聴いて、作り始めていきました。

--どんな役割分担で作業したのですか?
Avans:役割分担自体は早い段階で決まり僕の方でコードワークやメロディなど基礎的な土台を担当して、ミックスや音作りをBlacklolita君に任せたという感じです。僕はLogic Proを使っているのですが、今回のDAW作業はBlacklolita君が行う形になったので、彼が普段使っているFL Studioでの制作となりました。作曲と編曲がうまく分担できた格好です。同じ部屋にいるので、ちょっと作ったら「こんな感じでどう?」って聞いて、「これだったらリズムはこうだね」みたいなやり取りをして、コード感だったり音色だったりを行ったり来たりしながら、制作していきました。

Blacklolitaさん、Avansさんによる作品のFL Studioでのプロジェクト画面

--どのぐらいの時間をかけて作ったのですか?
Blacklolita:日数的には2日とかですね。時間でいうと8時間ぐらいだと思います。
Avans:最初は完全に違う感じの楽曲だったのですが、見切りは結構早くて、一回全部作り直しました。カッコよくなかったんですよね。最初の2時間ぐらいはアイディア出しみたいな時間で、その後3時間ぐらいで基礎はできましたね。

--自分たちで作ってある程度形ができてからの自信はいかがでしたか?
Blacklolita:正直言って、100%イケルと思っていました。初めてのコーライトだったので、不安がありつつ作ったのですが、早い段階でお互いの一番活躍できる部分で担当が決まり、100%の力を出し切れたので、自信はありましたね。むしろこれで、賞を取れなかったら今後どうしようって感じでした(笑)。それだけ、ちゃんと向き合ったかなという気持ちですね。

100%イケルと思っていたと語るAvansさん(左)とBlacklolitaさん(右)

--今回2人でうまくコラボができたようですが、仕事上においても、いい経験になったわけですかね?
Avans:今までは、お互い時間が足りないときに少し手伝う感じでは一緒に作業したことありますが、ちゃんとしたコーライトという形では今回が初でした。実際今回のリミックスコンテストでコーライトしてすごく面白かったので、機会があれば今後もしていきたいですね。もし、コーライトしないにしろお互いにアドバイスしやすくなったと思います。そういった意味では、いい経験ができたと思います。

--最後に今後の展開などあればぜひお願いします。
Blacklolita:今までクラブミュージックのシーンで音楽を作っていたのですが、実際のところゲームがすごく好きなので、ゲーム音楽を極めていきたいと思っています。効果音やミドルウェアで実装したりするところに興味があるので、そういったことを勉強しつつ、虎視眈々とその業界を狙っています。
Avans:今年の頭から会社でレコーディングのディレクションだったりしているので、そういった経験がいろんな場所に活かせたらと思っています。サンプルパックの販売も製作から流通だったりのパッケージングも僕たちでしていて、音楽的な企画をいろいろしているので、今後はプロデューサーやディレクターをしてみたいと思っています。

--ありがとうございました。

 

続いて、「B.B.Q. with SOUND CREATORS vol.1」の8曲目、桑原理一郎賞、XFLAG賞、さらにDÉ DÉ MOUSEさんにも特別選出作品に選ばれた、PinotFGさんにお話しを伺ってみました。

 

--PinotFGさん、まずは簡単に自己紹介をお願いします。
PinotFG:普段は奈良で、音楽業界とは別の仕事をしています。音楽は小さいときからピアノとクラリネットを演奏していました。学生時代から、オーケストラやミュージカル、オペラ等にも演奏で参加していて、現在もその繋がりで共演した方々とオーケストラ等で演奏しています。

PinotFGさん

--音楽のバックグラウンドはありつつ、普段は別のお仕事されているPinotFGさんですが、今回のリミックスコンテストはどうやって知ったのですか?
PinotFG:最初はsleep freaksさんのサイトですね。実はいろいろなコンテストによく参加していて、たとえば1年前ぐらいに開催されていたクレオフーガさんの未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテストなどに参加して受賞したりしていました。一方で、職場でも音楽を作る機会があるんです。実は現在広報の仕事をしており、動画の制作・編集の一環で楽曲を使ってもらえたりなど……また職場に「よさこいチーム」があり、ここの曲も7年間ずっと作っている関係で、世の中の事情も知りたく、コンテストに参加しているのです。

--さて、今回のリミックスコンテストでの制作にあたり、初期の段階で曲のイメージはできていたんですか?
PinotFG:そうですね。武田真治さんのサックスと五十嵐公太さんのドラムの音を聴いた瞬間になんとなくイメージが浮かぶとともに、作りたい!と思いました。ただリミックスというとテクノとかEDMとかのイメージがあったのですが、そういったジャンルは不得手なので、もっと得意ジャンルに振り切ろうと思いましたね。構成については数日かけて考え、日数は5日ほど、実作業的には12時間くらいですね。

--制作の手法について、簡単にその流れを教えてください。
PinotFG:インスピレーションが沸いたときは、短時間で仕上げたりすることもありますが、今回はまずフルオケにしようと決めていたので、オケをDAWに並べつつ、ピアノを弾いて基礎作っていきました。その後、音を足していき、少しずつ作っていって、次の日に聴いて、また作業して……の繰り返しでしたね。

--オーケストラをされているとのことでしたが、生楽器の録音で進めていったのですか?
PinotFG:いいえ、すべて打ち込みですね。DAWはCubase Pro9.5を使っていて、音源はEastWestのSymphonic Orchestraをメインに使いました。「よさこい」の曲の制作などのため、普段からDAWをよく使っていますが、7年前からずっとCubaseです。もっと以前、お金のないころはフリーソフトのMusic Studio Producerを使って打ち込みしていましたね(笑)
PinotFGさんのCubase Pro 9.5のプロジェクト画面

--5日間ほどかけて作った今回のリミックス音源、実際に応募したのはいつ頃だったのですか?
PinotFG:最終日の朝5時です。締め切り7時間前ぐらい(笑)。

--応募したときの自信のほどはどうでした?
PinotFG:選ばれるとは思っていませんでした。自分自身ミックスが苦手なので、その時点で落とされるものだと思っていました……。自信がなかっただけに、ちょっとビックリしています。

--過去のコンテストも含めてリミックスの経験はあるのですか?
PinotFG:実はないですよ。ただ今回の応募条件としては、「ダウンロードしたサックス、ドラムの素材をどんな形であっても使う」ということだけで、後は自由だったので、普段の曲制作の感覚で取り組むことができ、私個人的には作りやすかったです。

フレーズを3拍子化してから使っていったというPinotFGさん

--実際の素材の使い方としてはどうされたのか教えてください。
PinotFG:原曲が4拍子の曲なんですが、変拍子にしたいと思い、基本のフレーズを3拍子にしました。そのうえで、あまり切り貼りせずに素材のよさを活かそうと、他の楽器を足していきました。ですので、ドラムワンショットを使ってフレーズを作るのではなく、叩いているワンフレーズそのままを使いました。

--最後にアピールしたいことがあれば、ぜひお願いします。
PinotFG:今回は変拍子など捻った部分もありますが、「自然な流れに聞こえる」という点を重視して制作しました。その違和感のない自然さと、発想力を評価いただけたのだと感じています。今後自分にない知識や技術をもっと勉強して、よりよい作品を作っていきたいと思っています。

--ありがとうございました。

 

以上、XFLAG リミックスコンテストvol.1 受賞者の2組へのインタビューでした。残り時間も少ないですが、現在「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」が開催中なので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2
KYMOGRAPH 公式ECサイト
KYMOGRAPH 公式Twitter @KymographCLROWN

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