もう6年も前の話「特定楽器の音を抜き出せる画期的ソフト、SpectraLayers Pro誕生!」という記事で大きな話題になったSpectraLayers Pro(スペクトラレイヤーズ・プロ)。当時はSONYの関連会社である米SONY Creative Softwareのソフトとして誕生し、多方面で利用されるようになりました。その後、SpectraLayers Proはバージョンアップを繰り返すとともに、開発元が独MAGIXへと移籍するとともに、現在はSpectraLayers Pro 5に。機能拡充すると同時に、UIも洗練され、しかも日本語化もしっかり実現した上で、国内ではソースネクストによって販売されています。
もちろんWindows、Mac対応で、価格は42,677円と、6年前のリリース当初とほぼ同額です。ところが各ソフトをときどき激安価格で販売するソースネクスト、このSpectraLayers Pro 5もDTMステーションの読者限定かつ10月31日までの期間限定で5,980円となっています。さらに、このSpectraLayers Proを含むSound Forge Pro 12 SuiteとACID Pro 8などさまざまなソフトをセットにした作曲・音楽編集パックなら9,980円というトンでも価格となっています。そこで、このSpectraLayers Pro 5とはどんなソフトなのか、紹介してみたいと思います。
MAGIXの周波数スペクトラム編集ソフト、SpectraLayers Pro 5
SpectraLayers Pro 5(以下、SpectraLayers)は、音を編集するためのソフトですが、一般的な波形編集ソフトとはまったく異なる考え方、使い方のソフトです。各種DAWを含め、一般的な波形編集では、横軸が時間、縦軸が音量となっていて、音の強弱を見ながら、音を調整していきます。しかし、SpectraLayersは音の周波数スペクトルを立体的なグラフで表しつつ、まるでPhotoshopなどの画像のレタッチソフトのように音を自由自在に触って、処理することができるソフトなんです。
この手のソフトを触ったことがない方だと、いったい何を言っているのか、想像しずらいかもしれません。そこで、ちょっと古いバージョンのSpectraLayersではありますが、以下のビデオをご覧になってみてください。
いかがですか?ニュースのリポーターが事故現場で喋っている中、通り過ぎるパトカーのサイレン。このサイレンの音だけを抽出した上でキレイに消し去ることを実現しているわけですね。また、宇宙飛行士との通信において、人の声だけを抜き出し、ほかのノイズを消し去るといったことも簡単に行っています。普通の波形編集ソフトでは絶対に不可能なことですが、SpectraLayersであれば、それを簡単にやってのけることができるんですね。
これは、どんなことをしているのでしょうか?SpectraLayersについて、もう少し具体的に解説してみましょう。前述のとおり、一般的な波形編集では縦軸が音量になっていたのに対し、SpectraLayersでは縦軸が周波数となっているのです。つまり上に行けば行くほど高い音であることを示しているわけです。
DTMステーションCreativeの楽曲、「Appreciation 100」を読み込むとこんな感じに
たとえば音楽データを読み込んでみると、こんな感じで表示されます。上に細く普通の波形が表示されるとともに、下に大きく周波数スペクトルが表示されています。この周波数スペクトル、すべて緑になっていて、明るい表示と暗い表示がありますが、これはその周波数成分の音の強さを表しています。
でも、明るい暗いだけだと、分かりにくいという場合は3D表示させることも可能になっており、これだと先ほどの明るい部分が高く、暗い部分が低いという形で立体的に表現できるようになっているのです。
では、これをどうやって編集するのでしょうか?画面左上のツールバーから各ツールを選んで編集を行っていくのですが、その方法は、これまでの波形編集の常識とはかけ離れたものなんです。少し具体的に見ていきましょう。
たとえば、四角い点線の「矩形マーキー選択」を選び、画面上の一部を選択し、ここをカット。すると中域が完全に抜けたハイとローだけのスッカスカなサウンドになります。
またこのくり抜いた部分を新しいレイヤーとして設定し、このレイヤーだけを再生すると、今度はハイとローがまったくない、AMラジオ的な音になるわけです。
ここでは単純なレイヤー化の例を出しましたが、このようにスペクトル表示されたものから特定のものを抜き出してレイヤー化していくことができるツールなので、SpectraLayersという名前なんですね。そしてこれがSpectraLayersの基本的な考え方なのですが、音を周波数スペクトルで表示させる意義は、単にEQ的に扱うためでなく、各音の成分を視覚的に表示させると同時に、ある特定の音を抜き出すことができるというのが最大のポイントなんです。
たとえば、あるアコースティックでの静かなライブステージをレコーディングしていたときに、観客が咳払いをしたのをマイクが拾ってしまったとしましょう。それを音源にすると、こうしたノイズは結構不快ですよね。でも、SpectraLayersで、周波数スペクトルで表示すると、咳だけを特定することができ、その音を選択することができるのです。
その上で別レイヤーにして、そのレイヤーをミュートしてしまえば、ほかの音にまったく影響を与えることなく、ノイズだけをキレイに消しさることができるんです。その特定された音を選択するためのツールは、先ほどの「矩形マーキー選択」だけでなく、まさにPhotoshopのようなツールがいっぱいあるのもSpectraLayersの特徴です。
たとえば「ラッソ選択」(輪投げ選択)を使ってマウスで選択するというのも手だし、「ブラシ選択」で選んでいくということもできます。
またPhotoshopのような画像レタッチソフトではお馴染みの「自動選択」もあるので、形になっているものを自動で選び出すことも可能です。
しかし、SpectraLayersは音を編集するためのツールなので、まさに音を特定していく機能もいろいろ用意されています。たとえば「周波数選択」では、楽器などの音の変化をキレイに追っていくことができますし、「ハーモニクス選択」だと、基準音だけでなく、その倍音も合わせて自動選択することができるのです。
「ハーモニクス選択」を用いれば、ボーカルや弦楽楽器など、倍音成分を含むものも選択できる
たとえばボーカルのような音は単純な周波数で音が構成されているのではなく、数多くの倍音が同時に出ているからこそ、人の歌声として聴こえるわけですが、そこをキレイに抜き出すことができるというわけなのです。
もちろん、「ボーカルだけを1曲丸ごと選択!」なんてことができるわけではなく、スペクトル画面を見ながら、細かく少しずつ操作をしていく必要があるので、かなり地道な作業ではありますが、キレイに分離させることができますよ。
ソースネクスト価格はMAGIXのドイツ本国サイトの価格と比較しても、圧倒的に安い
そんなSpectraLayersの最新版、SpectraLayers Pro 5は通常価格が42,677円なのですが、この記事をお読みになった方限定でソースネクストお得意のメチャメチャなキャンペーン価格、86%引きの5,980円が10月31日まで適用されます。「こんな売り方していいのだろうか…?」と思ってしまいますが、実際ドイツMAGIXのサイトでみると€399.00とあるので、€1=\130換算で約52,000円。間違いなく世界一安い値段設定ですね。
SoundForge Pro 12 SuiteにはiZotopeのOzone ElementsやNoise Reduction Packも含まれている
さらに、このSpectraLayers Pro 5はSound Forge Pro 12 Suiteの中に含まれているのですが、Sound Forge Pro 12 SuiteのほかにACID Pro 8や音素材、さらには使い方ガイドのビデオなどをセットにした作曲・音楽編集パックなるものが9,980円という価格で販売されているのです。中には「ACID Pro 8は、この前のキャンペーンで買っちゃったから持ってるよ」なんて人でも、音パックを買ったほうがお得、なんてこともありそうですよ。
ちなみに、この音パックに入っている内容は以下の通りとなっています。
SoundForge Pro 12 Suite |
・Sound Forge Pro 12 |
・Acoustic Mirror Impluse Files |
・Noise Reduction Pack |
・iZotope Ozone 8 Elements |
・SpectraLayers Pro 5 |
・essentialFX Suite |
・Analogue Modelling Suite |
・Vintage Effects Suite |
・Vandal |
・VariVerb II |
ACID Pro 8 |
満足音素材 100 |
ACID Music Studioガイドムービー |
SpectraLayers Proガイドムービー |
SoundForge Audio Studioガイドムービー |
とりあえず持っておいて損はなさそうですよ!
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【価格チェック&購入】
◎ソースネクスト ⇒ SpectraLayers Pro 5
◎ソースネクスト ⇒ 作曲・音楽編集パック