「自分の好きなアーティストの曲をアレンジしてみたい」そんな思いを持っている人は多いと思います。もちろん、耳コピして自分で演奏したり打ち込んでDAW上でアレンジしていくのも手ですが、誰でも簡単にというわけにはいきません。
では、CDでリッピングした曲を利用するといっても、これが結構大変。単純に間奏部分をカットしてサビを2回繰り返させるというので、できそうでできないものです。波形編集ソフトでそれにチャレンジしてくじけた人も多いのではないでしょうか?
ACIDのBeatmapperを使ってお手軽アレンジ・リミックス
でも昔からそんなことが簡単にできるソフトがあったのをご存知ですか?以前もGarageBandの元ネタだたっということで紹介したSony Creative SoftwareのACIDがそれ。ここに搭載されているBeatmapperという機能を使うことで、自由自在にエディット、アレンジができちゃうんです。
今からちょうど10年前。リットーミュージックで「ザ・ベストリファレンス・ブックス ACID Pro for Windows」という本を書いたことがありました。これはACID Pro 3.0というバージョンをテーマにしていたのですが、Beatmapperが搭載されたのは、確かそのころだったように記憶しています(もしかしたら、その前だったかも……)。そしてこのBeatmapperは現行のACID Pro 7また低価格版であるACID MUSIC STUDIO 8でも、当時とほとんど変わらないまま搭載されているのです。
同じような機能が、ほかのDAWでも搭載されたら便利なのにとずっと思っているのですが、なかなかそうならないのですよね。個人的には、BeatmapperだけのためにACID MUSIC STUDIO 8を入れて、SONARやCubaseなどへ橋渡ししてもいいのでは……とも思っているのですが。そのBeatmapper、あまり知られていないようなので、ACID MUSIC STUDIO 8を使ってちょっと紹介してみましょう。
ACIDで「CDからオーディオを取り込み」機能を使ってトラックに1曲丸ごと読み込んだり、WAVやMP3で楽曲を読み込ませると、自動的に起動してきいます。ここから先は曲にもよりけりですが半自動の作業。
最初に曲のスタート位置を聞いてきますので、画面を見ながら確認します。イントロ部がフェードインされていたり、ビートがあいまい立ったりする場合は、カッチリしたビートがスタートする位置を指定してやります。
続いてBeatmapperが推定した1小節分が表示されるので、再生してみます。するとメトロノームといっしょに鳴るので、これがうまく合っていればOK。続いて、拍を推定してくるので、そこでも改めて確認します。以上で、Beatmapperの作業は終了です。もっともここで取り込める曲は基本的にビートが一定の打ち込み系の曲であり、完全に手で演奏しているものには厳しいのですが、最近の曲ならたいてい大丈夫じゃないでしょうか
この状態でACIDのメイン画面に移ると、トラックにはBeatmapperでテンポ分析した結果の曲データが用意されているので、自分で必要な長さ分だけ書き込んでおきます。ためしにここで再生してみると、曲と小節・拍がドンピシャに合っていることが確認できるはずです。
ためしに、4小節単位で切り刻んでみましょう。そのうちの一部を別トラックに置いたり、削除した上で空いた4小節分を詰めてみて再生してみると、ドンピシャにつながってくれるんですよね。音が途切れたりするのでは……と当初は心配したのですが、そんなことはまったくなく、キレイにつながってくれます。
4小節ごとに切り刻んでみる
もちろん、コピーすることで同じフレーズを何度も繰り返したりも可能なので、自在に曲の構成を組み替えられるのです。
また、この状態でテンポをいじると、それに自動で追従してくれるのもACIDのすごいところだと思います。いちいちタイムストレッチといった作業をせずに、テンポをいじるだけで、元の曲のテンポが自動で変わってくれるのですからね。もちろん、あまりに極端にいじると、ボーカルや楽器の音が妙になる可能性はありますが、スピード的に20%程度の増減なら問題なくついてきてくれます。
テンポを動かすと、それに追従してくる
さらに、リズムを足してみるというのも面白いところ。ACIDの付録として膨大なライブラリがあるので、ここからよさそうなリズムを探してきてもいいし、ネット上を含め、ACIDizedループ素材はいっぱいありますから、それらの中から適当に見つけてきてもいいと思います。厳密に考えなくても、なんとなくフィーリングが合う素材をペタペタと並べていけば、これまたドンピシャで合ってしまうので、まさにパズル感覚で曲をアレンジしていくことができるのです。
ループ素材を自由に重ねていくこともできる
まあ、このようにビートを検出して、タイムストレッチできるのはACIDに限らず、Native InstrumentsのTRAKTORなどのDJソフトが得意とするところですが、こんな感じで自由に編集できるソフトはあまりないように思います。
このようなアレンジという目的でACIDを使ってみるのも面白いと思いますよ。
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